5月23日前半,錦大沼.アカハラゴマダラヒトリ.カギモンヤガ.クチバスズメ.
気温14℃,午後8時.
<錦大沼公園駐車場>
白い落ち蛾.17mm.ノギスの柄でめくって確認する.
ぎょっとするほどの鮮やかな赤.アカハラゴマダラヒトリ確定.
学名は Spilosoma punctarium .属名は「斑点・汚点+身体」.
種小名は「点のある」.赤色にこだわっていないのには違和感がある.ならば「キハラゴマダラヒトリ」はどうかといえば「 lubricipedum 」.「速い+足」の意であって,一層異なる観点からの命名である.
息を吹きかけて翅の乱れを直しておく.この夜,もう1頭(18mm).
・シタコバネナミシャク(14mm)? 擦れていて翅表の模様がはっきりしない.
痛んだカギモンヤガ.前翅長18mm.
かなり長生きしたものだろうか.蛾にとって,成虫は完成ではなく,要するに「生殖体」でしかない.この蛾は生殖に失敗したのか,それとも余分に生きのびてしまったのか.
・シャンハイオエダシャク(15mm),セブトエダシャク(23mm),ルリモンエダシャク(18mm).
ふと見ると,足元を太い芋虫のようなものが這い回っている.
ああ,これは羽化中のスズメガだ.おそらくクチバスズメ.眼がこちらを向いているのは,脚が頭部を支えきれずに首がねじれているからだろう.
羽化したての蛾は美しいものだが,それは翅の新鮮さだけによってそうなのではないのが分かる.この腹部胸部の毛並みや,その柔らかなそうな質感は古い個体とは,あるいは芋虫のものとは明らかに感じが違う.
アスファルトの上をぐるぐると円を描く.翅を伸ばすことのできる場所を探しているのかもしれないと思う.すくい上げて縁石につかまらせる.そういう場所で羽化していたとおぼしきウンモンスズメをかつて見たことがある.
どうやらダメらしい.落ちつきなく動き回り,結局転落してしまった.
周囲はすっかり舗装で塗り固められた場所だから,かなりの距離を移動してきたに違いない.すでにどのくらい時間が経過しているのかは見当がつかない.もう手遅れなのかもしれない.
とりあえず,この蛾の動きは灯火の光に幻惑されている蛾のそれなので,光から離そうと考える.もう一度すくい上げる.少し歩いて暗がりの樹の股に置いた.
この蛾が落ち着いてくれればそれで良いと思った.それ以上は望めそうもなかったから.
車はアルテンへ.明日(24日)の記事で.24日は雨だったので.