ベニシタバ.ザトウムシ.ゴミムシの類.ムクゲコノハ.オオウスヅマカラスヨトウ.

 糖蜜をぼちぼちやっているが,はかばかしくない.ベニシタバばかりである.
 時間を変えてみようか.春の時は暗くなりかけの頃を狙っていた.気温が下がる前にという理由もあったが,そもそも活動時間帯が早いのかもしれない.カトカラはどうなのだろう.やってみる価値はある.


 というわけで,19時少し前始動.1時間繰り上がっている.

大沼公園駐車場.

 時間が早いのと,14日の月のために電気カンテラがなくても何とかなる程度の暗さ.
 糖蜜を仕込んで駐車場探索.少し離れた芝生の上で家族連れがテーブルを広げてキャンプめいたことをやっている.犬がけたたましく吠える.殺意が脳裏を走るが,もちろん実行したりはしない.
 まだ蛾はほとんど出てきていない.
 ●ヨスジアカヨトウ(×).旬の蛾.多い蛾ではないが確実に1,2頭づつ見つかる.

大沼公園

 糖蜜は5箇所に仕込んである.
 また… ベニシタバだ.

 「黄色いの」はさっぱりやってこない.もうダメな運命なのかもしれない.
 他の樹.いつもの虫たちが来訪している.

 ザトウムシ.秋はザトウムシの目立つ季節ではある.

 1cm弱のゴミムシ.この夜は多かった.前回と同じ場所だったので餌場化したものかもしれない.
 カマドウマやカタツムリもいつも通り.電気カンテラの光を蛾が横切った.これも一目ベニシタバ.
 やっとのことで,見慣れない蛾.大きい.脅かさないように慎重に接近.撮り.

 ムクゲコノハ.ザトウムシと競合中.前翅長4cmはありそう.
 初見ではないが7月の時は翅を閉じていた.下翅を見るのは初めて.考えようによっては「(ベニシタバ+ムラサキシタバ)÷2」の豪華な蛾である.

 横から.顔の下半分と胴体は,下翅と同じ朱色.この蛾は前翅があまりにものっぺりした感じで損をしている.
 ムクゲが逃げた後,近くにもう1頭.

 オオウスヅマカラスヨトウムクゲの後なので地味で小さい.
 糖蜜の霧吹きをスポーツドリンクで水増しして仕込み直し.時間つぶしに移動.

アルテン方面.

 何かイベントが連休に合わせて実施されるらしい.わたしにはメリットがない.車がいつもより多いようだ.
 馬場の駐車場は「来賓」の貼り紙があってパイロンで閉鎖.結局,車から降りず,ぐるっと回っただけ.錦大沼公園へ戻る.

大沼公園

 ムクゲコノハがライトにいきなり飛び立つ.耳元をかすめて,かすかな羽音を残す.
 他所をチェック.はかばかしくない.もう一度回る.逃げられた樹のそばの別の樹.

 またムクゲコノハ.さっき逃げた個体と同じものかどうかは分からない.
 これで今夜は撤退.頑張りすぎないようにしている,というよりは「頑張れない」.
 でも蛾の事後勉強が待っている.(つД`)


 ムクゲコノハの学名は Thyas juno .
 属名は「神に憑かれた女」.あのエウリピデスの悲劇に出てくるマイナスたちを指すと考えてよいだろう(Wiki「マイナス(ギリシア神話)」参照).
 種小名は,ローマ神話の女神ユーノー(「古代ローマ神名辞典」参照).
 さすがに大きい目立つ蛾だけあって(方向性はバラバラだが)由緒ある派手な名前が付いている.


 ところで,和名の「ムクゲ」というのはてっきり「木槿」だと思っていたが,はっと気付いて『動植物名よみかた辞典』(よくもまあ色々な本を持っているものである)を確認する.ああ,やっぱり.「尨毛木葉」だった.「ふさふさと垂れ下がった毛」.
 どうやら「下翅後縁の毛」(「みんな蛾」の「ムクゲコノハ」の標本写真をご覧いただきたい)が和名の由来らしい.
 そういえば「木槿」は食草リストに入っていないし.