「こも巻き」のこと.

 通院でぐったり.着々と日々の薬が増やされていく.


 というわけで虫撮りはまたサボり.シーズンの終焉を惜しむ気持ちはあるが,元気がない.
 今日は画像なしです.


 いきつけのサイト「水商売ウォッチング」の掲示板で珍しく虫関係の話題が出た.

[26606] 松の薦巻きはニセ科学
http://atom11.phys.ocha.ac.jp/bbs01/showthread.php?mid=26606&form=tree

 要するに,伝統無農薬害虫駆除法とされている「こも巻き」は,実は「益虫ばかり捕獲している」という話があるという指摘.


 不勉強なので全然知らなかった.


 なるほど,毛虫ばかりが集まってくる,という好都合なことには普通に考えてなり得ない.「虫はすべて駆除する」という発想の元に生み出された方法であるに違いないだろう.
 検索をしてみるとWikiに「こも巻き」の項目があって,この問題が取り上げられている.

この駆除法の効果と問題点を比較検証した研究で新しいものとしては兵庫県立大学環境人間学部の新穂千賀子らが2002年から5年間かけて姫路城で行った調査 [1] [2] があり、これによればこも巻きに捕まったマツカレハはわずかであり、対して害虫の天敵となるクモやヤニサシガメが大多数を占め、害虫駆除の効果はほとんど無くむしろ逆効果であることを証明した。


 この項目は脚注のリンクをたどると面白かったりする.
 読売新聞2008年8月31日記事では,姫路城のこも巻きについて管理事務局が「「確かにクモが目立ったが、益虫という認識はなく、ずっと焼却してきた」と述べたという.一般的な認識としてはそんな程度のものなのだということがよく分かる.樹に付くものはみんな駆除という意識.


 また,吉村仁志,木上昌己,矢野 宏二「バンドトラップで捕獲されたマツ害虫とその天敵昆虫とクモ : こも巻き法の再評価」(関心のある方はぜひ右上からPDFをたどっていただきたい)では,下草や枯葉がある環境ほど害虫も天敵も多く捕獲されていることが示されている.
 当たり前といえば当たり前の結果である.
 貧弱な生態系の環境ほど何かのはずみで単一の生物(しばしば害虫)の大発生を招くと思われる.生き物の種類は多い方がいい.落ち葉掻き等の管理はほどほどに.