ナミシャク特集(19),ケブカチビナミシャク.

 12月後半なのに雨ばかり降っている.相変わらず変な天候である.毎日雪かきをするよりは遥かにマシなのだが,でも空気が冬のそれではない.


 ケブカチビナミシャクは「みんな蛾」や図鑑ではまだ北海道に分布が記録されていない.講談社『蛾類大図鑑』では「本州(関東以西),四国,九州,対馬屋久島,沖縄本島に分布する」(p.514)とある.
 だが,「Web東奥/とうおう写真館・あおもり昆虫記」の蛾像は青森の十和田市撮影のものなので,青森にはいるということだろう.青森にいるのなら道南ギリギリの苫小牧にいてもおかしくない(いい加減だねえ).


 というわけでケブカチビナミシャク.08年07月06日.前翅長9mm.
 北隆館『昆虫大図鑑1』.

♂の前翅前縁は切りとったように直線的で,翅頂部はやや前方に彎曲している.裏面から見ると前縁の基部近くには赤褐色毛の列がある.♀は♂よりも翅が丸みをもつ.
(p.201)

 なるほど.そう見える.


 ケブカチビナミシャクの学名は Gymnoscelis esakii .
 属名は「gymnos 裸の」+「skelos 脚」.「後脚脛節の内距は退化している」(講談社『蛾類大図鑑』,p.513)ことからの命名と思われる.
 種小名は「エサキの」.昆虫学者の江崎悌三に献じられたものだろう.
 「日本産昆虫学名和名辞書 DJI」を引くと,エサキの和名をもつ昆虫esakiの学名を持つ昆虫が沢山出てくる(もちろんかなり重複している).


 (重複しているとはいえ)思ったよりも多い…….