ナミシャク特集(20),セジロナミシャク.
前回で,地味で泣きそうになる「カバナミシャク」と「ポスト−カバナミシャク」は完了.狭き門より入るつもりなら,この勢いで「コバネナミシャク」に突入するのだが,そんな根性はない.少し楽をしたい.
というわけで,あまり厄介でないナミシャクを.
今回,画像チェック中に見つけた蛾.
キイロナミシャクと思っていたが,セジロナミシャクだった.誤同定(こういうことはしばしばある).はっきり言って全然違う.
08年09月08日.電柱の高所を見上げているので,寸が詰まっている.
図鑑は類縁種「セグロ」エダシャクとの比較ネタばかりなので略.
セジロナミシャクの学名は Laciniodes denigratus ussuriensis .
さて属名が少し面倒である.「lacinia」+「-odes 『〜に似ている』という接尾辞」.「lacinia」が特定できない.
- ヘロドトス『歴史』に「ラキニア岬」という地名が出てくる.
- ラテン語で「衣類の端」,「衣類の端の切れ込み(スキッパー)」.後縁の模様から? ただし「-odes」はギリシア語の接尾辞なので好ましい造語ではない.ラテン語の流れなら「-oides」.
- タテハチョウのChlosyne属に「The "lacinia" species-group」というのがいて,「lacinia蝶に似たもの」の意.これだと「羅」+「羅」で平仄が合う.「lacinia」の解釈は2.によると思われる.
3.が最有力か.
種小名は「黒ずんだ」.亜種名は「ウスリー地方の」.
この蛾との出会いは,今のところこの1回だけ.