ナミシャク特集(30),チャオビコバネナミシャク.
虫系投稿掲示板ではフユシャクが真っ盛りの模様だが,ホカイドは本格的に冬ごもり.
人間が夜に外を出歩くと死にます.
当ブログは春蛾が続く.コバネナミシャクの2種目.
チャオビコバネナミシャク.07年05月15日.測定漏れだが10〜15mm.
07年05月08日.測定できる状況ではなかった.
保育社『蛾類図鑑上』.
個体変異がいちじるしいので,3♂を図示した.中・外両帯は太く,多くの個体では中室下で結合している.帯の色は黒褐色か茶褐色あるいは赤褐色で,個体によってはこれらの帯の間が褐色や黒色.後翅の色彩は一般に前2種(引用者註:シロシタコバネとシタコバネ)よりも暗く,袋は比較的大きい.
(p.195)
派手な色でなければ何でもありらしい.「袋」とは,♂の後翅後縁の付け根あたりにある袋状のもののこと.2枚目の画像に見えているのがそれかもしれない.
北隆館『昆虫大図鑑1』.
前翅の色と斑紋は変異が強い.普通2帯は黒褐色だが赤っぽいものもある.横脉下で結合し帯が太くなるのもあるし,2帯の間が広く黒っぽいのも出てくる.
(p.187)
ここでも記述は苦しんでいる.
講談社『蛾類大図鑑』.
斑紋はきわめて変異性に富み,前翅の中横帯と外横帯とは後半で結合することが多い.2つの帯がはじめから合流して幅広い帯となることもある.外横帯の外側はM1で強く突起する.
(p.464)
さすがの『大図鑑』も切れ味が悪い.「M1」とは漫才大会とかそういうのではなく「第1中脈」のことで,前縁から1/4あたりのラインだと思えばよい.
「みんな蛾」の「チャオビコバネナミシャク」の記述の方が実用的だったりする.
帯の辺縁も直線的で、基部付近には色があまり出なくて、横脈紋もより細長い線状になる事が多い印象がある。
どうしてこのような記述が重要かといえば,ウスベニスジナミシャクとの差異が上手く表現されているのである(ウスベニスジについては後日).
というわけで,帯が離れているが,これもおそらくチャオビコバネナミシャク.
08年05月15日.前翅長13mm.
チャオビコバネナミシャクの学名は Trichopteryx terranea .
属名は「毛深い翅」.
種小名は「terra 地面,土」+「-aneus (接尾辞)」.テラにはこの接尾辞が付くことになっているらしい.帯の部分が土色だというココロだと思われる.
「terranea」で検索をかけると高級リゾートばかりがヒットする.土でできた住居が建ち並ぶ光景がわたしの目には浮かんだりするのだが,きっと違うのだと思う.