ナミシャク特集(40).キマダラオオナミシャク.
いろいろなのだが,いろいろなことは書かない.虫関係だけ.
R.W.Brown『Composition of Scientific Words』(Smithsonian Books)届く.学名本である.
最初の方の文法解説は面倒でとても読めない.わたしが文法用語を知らなさすぎである.英語・ラテン語・ギリシア語のクロスレファレンスになっているのが最大の特徴*1.
というわけで,Gandaritis属の続き.サイズも雰囲気もよく似ている.色合いが違う.
キマダラオオナミシャク.前翅長28mm.
08年08月28日.そろそろ夜の気温が20℃を割っている頃.秋の蛾.蛾としては大きく,見栄えがする.
講談社『蛾類大図鑑』.
触角は♂でもほとんど糸状に近い.(…)一般に♂は翅の斑紋が黒みをおび,♀は淡色で前翅が黒っぽいことは少ない.
(p.483)
さかのぼって保育社『蛾類図鑑上』も確認しておく.
♀では翅の色彩が図示した♂よりも明るく,前翅の中央部や外縁部はオレンジ色.
(p.212)
記述に大差なし,というわけで,上の画像は高い確率で♂である.
すると下は♀ということになりそう.
07年09月13日.前翅長28mm.歪んだアングルになっているが落ち蛾である.
脇が空いて翅が重そうに見えるのはキガシラオオナミシャクと同じ.
正面もほぼ同じ.胸や腹の下面は白い.
キマダラオオナミシャクの学名は Gandaritis fixseni .
属名は「ガンダーラの」.種小名は人名由来だろう.
下翅の見える個体.
08年09月05日.29mm.
鮮やかな紅葉の色ではなく,黄褐色に病んだ枯葉のそれである.観光気分を棄てて1枚1枚に目を向けるとき,こういう落ち葉だって充分に美しい.
*1:学名索引しかない平嶋『生物学名辞典』よりも明らかに調べやすい.ただし,それ以外の点,例えば語彙や派生語においては平嶋本が優る.