ナミシャク特集(45).ツマキシロナミシャク.

 Jaeger『A Source-Book of Biological*1 Names and Terms』(Charles C Thomas・Publisher)が届いた.例によって学名本である.
 虫ブログでは時たまレンズ道楽が話題になるが,本マニアも負けず劣らず業が深い.人はわたしのことを金持ちだと思うかもしれないが,単に欲望の優先順位が規範からはずれているだけである.そのうちに食費や医療費を削ったり始めるに違いない.


 一応は,画像メインのブログなのでまだまだ続くナミシャク.
 前回のキアシシロナミシャクを受けて,再び「シロナミシャク」カテゴリーに入る.そうは言っても,「シロナミシャク」はグループなんて作っておらず,9属にわたって散在している(「アトシロナミシャク」はきっと区切りが違う).


ツマキシロナミシャク Gandaritis whitelyi
 ツマキシロナミシャク.08年07月16日.前翅長16mm.
 とまり方はナミシャク.翅の付け根の怒り肩もナミシャクっぽい.翅の模様は「キアシシロ」よりも更にAbraxas属(マダラエダシャクの類)に似ている.
 実際,この蛾の命名者のButlerは学名を Abraxas whitelyi としている(1787).似ているものはきっと仕方ない.この蛾はその後20世紀に入ってナミシャクに編入.Calleulype属として独立させられた挙げ句,結局は Gandaritis属に合流させられたという難儀な蛾である.あいまいな外見がなせるわざであろう.
 というわけで,現在の所属は Gandaritis属 .「ガンダーラの」.キガシラオオナミシャクキマダラオオナミシャクと同属とされている.似てないです.Abraxasの方がよっぽどです.
 種小名の whitelyi は明らかに人名由来なのだが,どういう人なのか調べられず.「ホワイティ」さんだろうか.わたしの世代ならホワイティといえば「海底少年マリン」やら「オキシガム」やらであるが,そんなことは本質ではない.


 もう1枚.
ツマキシロナミシャク Gandaritis whitelyi
 06年07月21日.測定漏れ.
 腹が白いんだねえ.

*1:形容詞にsがつかないことに違和感ありまくり.だから英語は嫌い.