Cnethodonta とか文献読みとか。

 学名を調べていると,どうしても命名者による報告論文を読みたくなる。
 あれこれネットを徘徊して,「The annals and magazine of natural history」も「Mémoires sur les lépidoptères」もオンラインでロハで読めることが分かった(日本の「動物学雑誌」は CiNii で有料である。しかも高い。登録に失敗して料金だけ取られている状態)。
 命名意図がはっきり書かれているわけではないが,ヒントぐらいにはなる。

  • Hupodonta属(カバイロモクメシャチホコなど)
    • hypo(下)+odous(歯)。Notodonta属に近縁だということからの命名のようだ。
  • Cnethodonta属(バイバラシロシャチホコなど)
    • Cnetho(引っ掻く)+odous(歯)。翅表がざらついていることに由来するのかと思っていたが,次のような事情らしい。HP原稿を書き直し。

 おそらく,Cnethocampa属 の“Cnetho”と,シャチホコガによく使われる“odonta”を組み合わせた命名
 命名者 Staudinger は,この属を立てるにあたって,外観は Stauropus属(シャチホコガなど)にもかかわらず,触角が Cnethocampa属に類似していることを強調している(Mémoires sur les lépidoptères,Vol.3,p.215)。
 Cnethocampa属は現在 Thaumetopoea 属。日本には分布せず。「引っ掻き毛虫」の意。幼虫は有毒の毛虫である。

 この雑誌,タイトルはフランス語のくせに,本文がドイツ語である。わたしは仏英羅は何とかなるが,ドイツ語は辞書がやっと引ける程度でしかない。プリントアウトした1ページをたどるのに4時間かかった。
 しんどいなあ。でも久しぶりに人間らしいことで脳を使うことができた。