部屋とか辞典とか図鑑とか。

 今の借家に引っ越してきてから数年が過ぎたが,50箱以上あった段ボール*1から本たちはほとんど陽の目を見ていない。
 かなりの部分は2Fに積み上げられ,それでも面倒くさくなって20箱ほどは居間の壁際や中央に残留させられている。テーブルなんぞはもちろん置けないし,床暖房は本を暖めるばかりである。
 かつては「みかん箱」で勉強するのがステータスだった時代があったそうだが,わたしは「本の詰まった段ボール箱」にPCを乗せてあれこれやっている。
 いきおい資料の類でよく使うものは手の届くところ,すなわち床の上に積み上げられていく。

 こんな調子。それにしても「虫」が,これほどまでに本代のかさむものとは予想外だった。
 というわけで画像解説。

  • 左側の黒いのはギリシア語のレキシコン。狂ったように重い。しかもわたしはギリシア語の文法は活用は全く分からない。でも,こいつがないと学名調べができない。
  • その右の紺色のは Oxford の羅英辞典。本当は学生時代に使っていた Gaffiot の羅仏が欲しいのだがまだ手がでない。
  • 見えていないが羅英の下に大学書林ギリシャ語辞典。「ギリシア」でない辺りがなかなか面白い*2。更にその下に原書房古代ギリシア人名事典があるがほとんど参照することがない。
  • 羅英の上の茶色の本は講談社「蛾類大図鑑」。擦り切れ始めている。これは第2巻。ずっと上の方に見えているのが第1巻。蛾を5シーズンも続けていると,2巻の標本写真よりも1巻の後ろの方のデータ類の利用頻度が高くなる。
  • 「大図鑑」の上の白い背表紙は,Jaeger の「A Source-Book of Biologocal Names and Terms」。これがとんでもなく優れものの本で,これを使うようになってから,平嶋「生物学名辞典」の依存ウェイトが激減した。後者は風呂の中で半分眠りながら読むことが多くなった。
  • その上の緑の本が,Emmmt「The Scientific Names of British Lepidoptera」。イギリスの鱗翅だけなので日本の蛾に上手く対応していないケースがしばしばなのだが,それでも属名(たいてい種小名よりも厄介である)の由来解説があるのは有りがたい。とにかく Jaeger と Emmet とがないとわたしは今以上に学名を前にして途方に暮れていたはずである。
  • その更に上,おなじみの北隆館の大図鑑。南陽堂で買った旧版である。本自体がもうバラバラになりかけている。「蝶蛾篇」以外はほとんど見ない。
  • そしてその上。研究社の羅和。羅英の補助である。
  • その向こうで皮がかかっているのは保育社の図鑑。ここに見えているのは「原色クモ類」である。「蛾類」の方は鞄に入れて持ち歩いていることが多い。
  • 保育社の下には学研の幼虫図鑑。全然見ません。
  • 奥に全農教のカメムシ図鑑が見えている。早く第3巻が出ないものか。でもこのところさっぱりカメムシを撮っていない。
  • その他の本は各所に散在している。例えば名著「札幌の昆虫」は現在はトイレで暮らしている。


 ネットで19世紀の蛾関係の文献を印刷するようになって事態は一層悪化している。床の上はろくに理解できない活字のプリントされた紙が散乱している。
 何か破滅の道を歩んでいるような気がしないこともないが,その前にタイムアップするだろうから平気である。

*1:それでも深川から出てくる時には古本屋に7万円以上売り飛ばしたのだが…。

*2:なぜ「ギリシア」と表記されることが多いのかは,田川建三の著作で知った。