ウスバキエダシャク勉強会。ニッコウエダシャク。カバキリガ。マダラコバネナミシャク。シロテンエダシャク。シタコバネナミシャク。

 好天らしい。サクラの状況。
サクラ
 別にサクラが好きなわけでなく,季節の基準になる。そもそも花を愛でる人間ではない。
 新緑の中のカササギの巣。
カササギ
 本体をさっぱり見かけないのもので,てっきり巣を放棄していると思っていた。上司によると「いる」らしい。そういえば放棄されたならばカラスが入り込みそうなもの。


 というわけで,「ウスバキエダシャク」と「ウスバシロエダシャク」の話の続き。
 ますます分からなくなってきた。整理しておこう。


 種名のリンクはすべて「みんな蛾」へジャンプします。どうぞ見比べながら。
 まず,保育社『日本蛾類図鑑(上)』(昭和32年初版,46年改訂),p.257。

ウスバキエダシャク
開張26〜30mm。外見上ナカウスエダシャクとやや似るが,翅が薄い感じで,前翅内横線は強く傾斜している。この線は後翅の基部近くにも連続して,黒帯をなし,さらに腹部の黒帯に続く。外横線は脈5及び2の付近で強く外方にでばる。(…)
北海道の亜種 incana Inoue では,一層白っぽく,横線や外横線外側の暗色斑が明瞭。(…)


ウスバシロエダシャク
開帳25〜32mm。一般に前種よりも大型で,多くの場合前翅外横線の内側が白く,白色の亜外縁線も明瞭。後翅は白色,外横線は後縁部で太まり,明瞭だが,前半ではほとんど消えている。(…)

 次。北隆館『昆虫大図鑑1』(昭和40年初版),p.210。

ウスバキエダシャク
(…)ナカウスエダシャクと似ているが,翅がいっそう薄く,前翅の内横線は強く傾斜している。前翅長:15〜18mm。(…)北海道の亜種 incana Inoue は本土産よりも白っぽく,横線は明瞭


ウスバシロエダシャク
前種に近縁だが,やや大きく,前翅はところどころ赤褐色をなし,多くの場合前翅の内横線の内側が白く,後翅は前種よりもはるかに白くて,外横線は後半あるいは後縁付近だけにしかあらわれない。前翅長:16〜20mm。(…)

 描写の微妙な揺らぎを味わうのが「図鑑批評」の醍醐味である。
 講談社『大図鑑』(昭和57年初版),p.542。

ウスバキエダシャク
(…)脈相は前属( Deileptenia 属,マツオオエダシャク)にほぼ等しいが,♂では基部に刻孔がある。(…)本種の腹部第1節背面には白帯がある。前翅の外横線と内横線のあいだは,寒地の個体ではかなり白っぽい。(…)


ウスバシロエダシャク
前種に近いが,一般にやや大型。前翅はいっそう赤褐色をおび,後翅はいっそう白い。♂触角の櫛歯は前種よりも長い。(…)

 「みんな蛾」のコメント。

ウスバキエダシャク
(…)前翅は赤味を帯びず、明るい部分が少ない。また、最基部の線が後半で直線的に基部に向かう。地色よりも外横線が素直でその外側に褐色味が無いのがポイント


ウスバシロエダシャク
前翅は白っぽく、全体に赤味を帯びる。また、最基部の線が3になり後半で特に明瞭

 さて『大図鑑』・「みんな蛾」で,

  1. incana 亜種はオクラ入り。道産品は単に白いのである。
  2. ウスバキで「腹部第1節に白帯」。
  3. ウスバシロで「櫛歯が長い」。
  4. 後翅の横線に関する記述がなくなっている。
  5. ウスバシロで「最基部の線が3で明瞭」。

 (2)→「みんな蛾」画像ではそんな感じ。でもあいまいな個体もいそうだ。
 (3)→相対的な基準であって,余程の差がない限り一発勝負の現場観察や写真では使えない。
 (4)→単に書かれなかったのか,意図的な訂正なのか不明。いずれにせよわたしは後翅を見る機会に乏しい。
 (5)→明らかに線の直線的な個体をウスバキと断定するには有効。だが,はっきりしない個体も多い。
 <結論> (゚⊿゚) ワカンネ。


 というわけで前日に引き続いてのウスバキエダシャクの特集。もうこれでわたしはウスバシロをあきらめます。

ウスバキエダシャク Pseuderannis lomozemia
ウスバキエダシャク Pseuderannis lomozemia
 17mm。


ウスバキエダシャク Pseuderannis lomozemia
 17mm。


ウスバキエダシャク Pseuderannis lomozemia
 18mm。


ウスバキエダシャク Pseuderannis lomozemia
 13mm。


ウスバキエダシャク Pseuderannis lomozemia
 18mm。


ウスバキエダシャク Pseuderannis lomozemia
 18mm。


ウスバキエダシャク Pseuderannis lomozemia
 18mm。


ウスバキエダシャク Pseuderannis lomozemia


ウスバキエダシャク Pseuderannis lomozemia


ウスバキエダシャク Pseuderannis lomozemia


 その他,3頭ほど。すべてウスバキエダシャクに見えました。ヽ(`Д´)ノ


 その他の蛾。

ニッコウエダシャク Lassaba nikkonis
 ニッコウエダシャク。23mm。
 別個体。
ニッコウエダシャク Lassaba nikkonis
 折れ曲がっている。
 この蛾は季節通り。追いついたのかな。

カバキリガ Orthosia evanida
 カバキリガ。18mm。

シタコバネナミシャク Trichopteryx hemana
 シタコバネナミシャク。15mm。

マダラコバネナミシャク Trichopteryx ussurica
 マダラコバネナミシャク。18mm。

シロテンエダシャク Cleora leucophaea
 シロテンエダシャク。19mm。


 電柱。

ヒゲマダラエダシャク Cryptochorina amphidasyaria
 おそらくヒゲマダラエダシャク。


フトフタオビエダシャク他
 左からウスバキエダシャク,中央がおそらくフトフタオビエダシャク,右は分からない。


 蹄鉄。
蹄鉄