Cocytia・・・。(20)

 さて,例の Cocytia もブログ上では今回でお終い。結局,何がどうなっているか分からないままに,文献をテキトーに紹介しているだけで尻切れ何だか。
 気が向いたらHPにもっと整理してまとめるかもしれない。需要がないに決まっているので,期待薄。


 ここまでの進行については「検索:*[Cocytia]」参照。


 今度は『Voyage de Découvertes de l'Astrolabe』。大部に渡る本。「昆虫学編2巻」は例の Boisduval の手になる。序文を読むと,この部分は本当はお馴染みの Latreille が書く予定だったのだが,Lamarck(用不用説のラマルクである)が死んだため急遽昆虫学講座を受け持つことになり,こちらにお鉢が回ってきたとか述べられている。でもそういうことは今はどうでも良い(序文を全訳しようかと思ったのだが激しく面倒になったのでやめたのである)。


 というわけで,Cocytia の所だけ。せっかくだから正式書名で。
 Voyage de la corvette l'Astrolabe : exécuté par ordre du roi, pendant les années 1826-1827-1828-1829 / sous le commandement de J. Dumont d'Urville. ,Faune Entomologique de Océan Pacifique avec l'Ilustration des Insects recueillis pandant le Voyage,Première Partie. LÉPIDOPTÈRES,1832。コルベットアストロラーベ号の航海。王の命のもと,J.デュモン=デュルヴィーユ艦長により1826-1827-1828-1829年に行われた。太平洋の昆虫相。航海中採集された昆虫の図版を付す。第1巻,鱗翅目)


P.10。

 コーキューティア属は,マダラガ,スズメガ,スカシバガを合わせたようであり,デュルヴィーユ氏によって,コキーユ号〔la Coquille〕での最初の航海でニューギニアで発見されたものである。今のところ,これに類似した種は見いだされていない。

 実は,わたしは,≪Cocytia≫の名称は「Coquille」から作られたのものだと推測している。違っていたらゴメン。


 記載文も訳しておこうか。p.190。

 COCYTIE属,Cocytia.Boisd.


 C.DE D'URVILLE,d'Urvillii.Boisd.


 翅スベテ,両側黒ク,硝子様ノ翅表ニ黒キ脈,基ニ黄色キ斑アリ。触角ハ長クシテ紡錘状,黒。頭部,肩,下唇鬚,胸部,腹部ハ,銅-青色ニ輝ク。〔この箇所ラテン語


 翅の両側は濃い黒色,中側は透明で黒い脈で切られている。基部には黄色味の強い黄褐色の斑がある。触覚は長く,黒く,紡錘状。頭部,肩,下唇鬚,胸部,腹部は良く輝くブロンズ色。


 Boisd.,Monog.des Zygen.,p.22,pl.I,fig.1.


 この壮麗な鱗翅は,D.Lineata 〔不詳〕の大きさである。
 ニューギニアに産する。


 というわけで,Cocytia はとりあえずお開き。さすがに温厚なわたしも飽きたよ。