「みちのく会@秋田」私的レポ(3)。2月26日昼。いざ会場へ。

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(承前)


 わたしが待ち合わせ場所を微妙に間違えるのはいつものことであって,はたして幹事さんの迎えの車は反対側の駐車場だった。
 わたしを含めて秋田駅出迎えられ部隊は総勢3名。幹事団の心配りにはとにかく感謝。


 車が走り出す。目的地までは10分ほど。いきなり濃い会話が始まる。
 「…さんが集めたエウピテキアが…」「あのスコプラにしたって…」。行き帰りの車の中で出し抜けに展開される話とは思えない。わたしだって一応蛾屋の裾野だから,「Eupithecia」がカバナミシャクで,「Scopula」がシロヒメシャクの類だぐらいのことは分かるけれども,分布のことや交尾器談義にはとてもついて行けないから黙って耳をすましている。
 これって,キモオタの方々が所かまわずにアニメの美少女キャラについて熱く語るのと構造は同じだな。
 それでもアカデミズムに地続きになっていることがこちらの最大のアドバンテージで,サブカルよりも社会的許容度が高い(はず)。何と言っても昆虫はアリストテレスの『zôia istoriai』に取り上げられて以来,2千5百年近く学問の対象をやっているのである。


 グニャグニャの道をグニャグニャ通って今回のみちのく会会場「秋田県森林学習交流館 プラザクリプトン」着。


 命名の由来は杉の木の学名からとのことだが,普通の人は不活性ガスかスーパーマン初音ミクしか連想しないだろうなあ。


 展示室があって,「野鳥の声が聞ける機械」がある。

 あれ,スズメは? 最も身近な野鳥なんだが。


 2時開場。
 恒例の,持ち込み標本が並んでいる。これが楽しみ。

 一面薄茶色の,一面のカバナミシャク。車中で話題になっていた理由が分かった。
 業界では「ゴミシャク」の異名を持つ,同定者泣かせの小型の地味蛾。わたしには特徴のはっきりした2,3種しか分からない。
 蛾屋の本性とは「飽くなき蒐集欲」と「秩序への渇望」であるようだ。わたしには前者が著しく欠落している。


 名前を確認し忘れたまま撮影した蛾。

 腹部がないのは壊れたのではなく,交尾器による同定の結果。


 箱は全部で4つ並んでいた。やや少なめ。
 もう1箱撮る。

 こっちはナミシャクの地味どころらしい。ちょっと圧倒される。
 記念撮影をしておこう。

 ケブカチビナミシャク。これはわたしも見たことがある(08年12月20日記事)。
 (もっと絞りを開けば展翅針をぼかし飛ばせたかなあ)。


 標本を取り巻きながら人々があれこれ話している。
 微針を使って展翅する苦労の話。刺しどころが悪いと翅が反り返ってしまう話。肉眼では無理で顕微鏡を使う話。何とかいう微少ミクロはもともとが翅が湾曲してして,どうやっても平らにならないという話。


 大会要項。

 今回の表紙はヤホシホソマダラ。南方性の蛾で,この画像(@能代)は北限記録とのこと。


 次は因習の「一人一話」。


(この項続く)