「みちのく会@秋田」私的レポ(5)。2月26日昼から夕方。「一人一話」後半戦。

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(承前)


 「みちのく会」は4回目で,そろそろ名前と何蛾屋なのかの対応がつくようなってきた(顔との一致は×。これは母方の遺伝である)。今回の「一人一話」メモも発表者がなんとなく分かるのだけど,割愛。
 知識や言葉に固有名詞が冠されるのは神のそれだけじゃないだろうか。もちろん,現在,ある知識や言葉について何らかの個人への権利付加は行われている訳だが,純粋な言葉の観点から見るならば,そのことは文化制度下での非本来的なものに違いないと思っている。知識や言葉はそこら辺を浮遊していればよい。
 「知識と権力」とかそういう議論をここで展開するつもりは全然なし。


 というわけで続き。

 『標準図鑑』マクロ編に向けての,トリバガの標本募集。

 撮り蛾屋としてはトリバガは難しすぎ。
 トリバみたいなヘンテコな蛾のいることすら知らない人が圧倒的だろうな。小学校で教えればいいのに。

 前回のヨツボシホソバとウンナンホソバの後日談。外国の研究者からDNAを調べたいから脚を送れとの話。

 これに関して翌日に補足コメントあり。自分は高尾山のヨツボシとウンナンは区別がつくようになった。ヨツボシ♂は前翅外縁の黒みが強い。九州・四国ではウンナンはまだ出ていない。


 クワトゲエダシャクの人工交配に成功。サクラとナシは確実に食べる。リンゴはやっていないがおそらく食べるだろう。ケルクス(コナラ・カシ),バラも大丈夫で蛹まで行っている。


 ヒメミスジエダシャクの東北日本海沿い分布を確認。


 岐阜でウスアオモンコヤガを調べると,翅の青みが強くコントラストの明確なものと,全体に色が濃く白色部の目立たないものとの2型が認められ,交尾器にも違いが見られる。別種の可能性あり。県内の分布状況から見て,東北には黒型がいないかもしれない。他県からの情報求む。

 これに関して翌日に補足コメントあり。ウスアオモンコヤガのタイプはロシア産。これは青型。黒型については台湾,中国,スマトラから標本が出ている。従来一属一種とされていたが,色々な種がいるのかもしれない。

 わたしは青型しか見たことがないよ。ホカイド人としては知らん顔しておこう。エゾマイマイだけでも十分に当惑しているのである。

 最新のヨーロッパのヤガ図鑑ではヒトリガ・ドクガを含めてしまっている。

また,クアドリフィーネ(後翅翅脈が4つに分岐している)をまとめて「トモエガ科」を新設しようとする動きも依然活発である。


 今年は環境省のレッドデータ改訂の年である。過去,蛾は異常に少なかったのだが,今回は108種の蛾を選定した。


 毎週,高尾山へ採集に行っていた。昔とは採れるものが変化している。蛾は少なくなった。パラパラ,という感じ。今は光源が昔よりも進歩していることを考え合わせれば,蛾は相当減っているのだろう。

 苫小牧は数というよりは,多様性が減ってきているように思える。

 北海道。カシワに被害を与えるマクロ3種。クヌギキハモグリガとカシワミスジキンモンホソガの2種は字書き虫。年2化で,2代にわたって同じ葉に潜ったりするので,9月にはほとんどの葉が白くなってしまう。また,ツヤコガの一種は春の若芽に卵を刺し込んでいるらしい。幼虫は葉脈を通っていき,葉を枯らしてしまう。

 前2種について,樹にどれくらいのダメージを与えるのかと質問。樹全体を枯らすところまではいかないが,そこそこ弱る模様。落葉樹だからなんとかなるのだろうな。


 プロジェクターでのプレゼンがなかったので,やや不完全燃焼気味のように思えた。それに反比例して,夜や明日がより熱いものになるかもしれない。そういう人々である。


 ところで蛾屋の裾野をやっているわたし(裾野がなければ山頂だってないんだぞ。裾野のみなさん,頑張りましょう。わたしレベルではほとんど平地なんだけど)が何を一話したかというと,「身近な自然を知らなければ倫理的思考はできない」と強弁して倫理の授業で虫や蛾のスライドを見せた話。何人かの女の子が泣きそうになって困った。


(この項続く。次回は夜の宴のあれこれ)