マルモンシロガ。ヒメハイイロカギバ。シロモンコヤガ。カギシロスジアオシャク。ホソバナミシャク。ヒロオビウスグロアツバ。エダシャクの類。マエモンフタオ。スジキリヨトウ。ヨツボシノメイガ。バラシロエダシャク。テンスジツトガ。ルリモンエダシャク。オオマエベニトガリバ。ミスジシロエダシャク。モクメシャチホコ。セダカシャチホコ。ギンシャチホコ。

 やっとやっとで学校祭終わり。後は決算とこちらのダメージの回復。後者がなかなかの難物で,失敗するとそのままウツの世界への最短距離の引き金になる。
 というわけで4日は振り替え休みの最終日。翌日から仕事仕事仕事。


 出撃時の気温15℃。天気ガス。

アルテン温泉看板

 テンスジツトガおよびハマキガの類ことごとくスルー。撮り出したり数え出したり始めるとキリがない。

 車から下車して最初に目についた蛾。
マルモンシロガ Sphragifera sigillata
 マルモンシロガ。測定漏れ。印象的な,特異な模様としか言いようがないのだけど,さすがに見慣れた。
 これでスズメガ程度のサイズ,あるいはこういう模様のスズメガヤママユガがいたら相当面白かったはず。

 変な奴第2弾。ヨコバイチックな何かでしかない。
ヒメハイイロカギバ Pseudalbara parvula
 でもまあ蛾である。だから蛾は面白い。ヒメハイイロカギバ。15mm。
 ネットではお馴染みだが,確認すると実物は初見である。

シロモンコヤガ Erastroides fentoni
 シロモンコヤガ。14mm。大きめのコヤガ。
 『標準図鑑』では新設「スジコヤガ亜科」へ。旧コヤガ亜科はすでに記事「ヤガ科分類の変遷について」および添付ファイルでまとめたように,「ホソコヤガ」「ベニコヤガ」「カギアツバ」「スジコヤガ」「アオイガ」「キマダラコヤガ」「ノシメコヤガ」「エグリバ」「キリガ」の各亜科へと解体された。全然頭に入っていません。「コヤガ亜科」で全然困っていません。これから蛾を始める人は収拾のつかないマイナーコヤガ系諸亜科と,それと対照的な膨大なキリガ亜科で苦しむことになるはず。

 アオシャクはもっと知られてもいい。
カギシロスジアオシャク Geometra dieckmanni
 最も普通種であるカギシロスジアオシャク。24mm。


 「蛾」と聞いたときにまずこの蛾が思い浮かぶようなら,人々の蛾のイメージは全く異なったものになっただろう。こういう蛾の存在は小学校や幼稚園で教えておくべき。そのためには,まず教える側の採用試験に「蛾を手に乗せる」ことを課すぐらいで丁度いい。

 そもそも「モンシロチョウ」しか分からない(もちろん彼らにとってはスジグロもモンキもすべて「モンシロ」であり,ジャノメやセセリは蛾である。これは塩と砂糖と覚醒剤を同一視するのと同じレベルである)小学校教師がフツーにいそうな気するのだが。

 ホソバナミシャク。14mm。
ホソバナミシャク Tyloptera bella
 よく目立つ,分かりやすい蛾。

ヒロオビウスグロアツバ Hydrillodes morosus
 ヒロオビウスグロアツバ。12mm。
 この蛾の旬は比較的短く,わたしの記録では6月後半から7月初頭まで。内地で梅雨がどうのこうの言っている時期に重なる。

 図鑑だけは沢山持っていて,辞典も合わせてパソコン周りが大型本で大変なことになっているのだけど,分からないものは分からない。『標準図鑑』『大図鑑』を何度も見返し,『北隆館』『保育社』まで(山の下層から)引っ張り出した。
 現在のわたしの力ではムリという結論。
エダシャクの類
 前翅長17mm。現場での見立てはシロモンキ。翅全体のざらざらと点繋ぎな横線から。
 でも,亜外縁界隈が違っているような。後翅の亜外縁線もこんなのは初見。
 Pseuderannis(ウスバキ系),Alcis(ナカウス系)却下。Protoboarmia(オレクギ系)は後翅がイヤ。その他日本では1属1種の方々のどれも違っているように見える。
 とりあえずヽ(´ー`)ノ ダメー。こんなのがたまってきたら,まとめて蛾LOVEさんのところに問い合わせようと考える

 フタオガは珍しい。
マエモンフタオ Dysaethria erasaria
 マエモンフタオ。12mm。
 このスタイルがどうこうよりも,展翅されてしまうとフツーの蛾になってしまうのが最も不思議。「みんな蛾」http://www.jpmoth.org/Uraniidae/Epipleminae/Dysaethria_erasaria.html

 スジキリヨトウ。14mm。
スジキリヨトウ Spodoptera depravata
 『標準図鑑』では「少なくとも年3化」とあるが,苫小牧では2化のように思える。この個体は先発隊。

ヨツボシノメイガ Talanga quadrimaculalis
 ヨツボシノメイガ。20mm。
 真上からフラッシュをあてると翅の黒地がテカる。

バラシロエダシャク Lomographa temerata
 バラシロエダシャク。15mm。
 苫小牧では6月〜8月一杯。2化の可能性大。

 これくらいは撮っておこうか。
テンスジツトガ Chrysoteuchia distinctella
 テンスジツトガ。測定サボリ。牛乳の白さ。

 ・キスジハイイロナミシャク(13mm)。
 ・キヒメナミシャク(10mm)。
 ・オオミズアオ(×)。
 ・シロアヤヒメノメイガ(×)。

馬場駐車場

 まだいるぞルリモンエダシャク。19mm。
ルリモンエダシャク Cleora insolita
 ♀。さすがにボロけてきている。

 オオマエベニトガリバ。20mm。
オオマエベニトガリバ Tethea consimilis
 これで差し渡し4cmというのはおトクなのに違いない。顔が黒いぞ。トガリバなので触角が赤い。

 ミスジシロエダシャク
ミスジシロエダシャク Taeniophila unio
 19mm。

 オオモクメシャチホコ。30mm。
オオモクメシャチホコ Cerura menciana
 ところで,モクメシャチホコの学名の“Cerura felina”の“felina”って猫のことなのだけど。昔のアメアニメの「フェリックス」と同根。謎の命名の一つ。

 もう疲れたし嫌になったし,沢山撮ると蛾像整理がつらくなるばかりなので(わたしは100枚以上撮ることはほとんどない。60枚ぐらいのことが多い。そのうちの半分弱は測定ノギス),帰ろうと思うと,タイヤの正面に蛾が落ちている。

 移動させようとすると神経が切れて固まってしまった。
セダカシャチホコ Rabtala cristata
 セダカシャチホコ
 こんな脚でよく使い物になるなあと思いながら,つまみ上げて藪に放り込む。

 そんなことしているとついでに見つけてしまう。
ギンシャチホコ Harpyia umbrosa
 ギンシャチホコ。27mm。
 上手く撮れば美しいのかもしれない。でも早く帰りたかったし。