7月11日後半戦。ナシイラガ。オオシロエダシャク。ヨツメエダシャク。ギンボシアカガネキバガ。ギンモンミズメイガ。ツマキシロナミシャク。アオシャクの類。クシロモクメヨトウ。フタスジカスミカメ。シタクモエダシャク。ミスジアツバ。ウスフタスジシロエダシャク。カバイロコブガ。チャイロサルハムシ。サラサエダシャク。セアカツノカメムシ。
(承前)
この夜ははじめから看板をチェックするだけの予定。
これだけでもシャッター回数が100近くいってしまう。わたしは1晩フタケタにとどめるのが原則である。さもないと画像整理だけでほぼ睡眠時間が飛んでしまう。
小欲をもって足るを知るといっても,知識や真理についてはちょっとデリケートである。過剰な自然探求を避けたエピクロスはやはり賢明なのだろう。
アルテン温泉看板(つづき)
オオシロエダシャク。25mm。
バックが白だとコントラストがつかない。とはいえ,エダシャクの中では屈指の美麗種だとわたしは思っている。
ギリシア語の psychê は「(死者の)魂」と「蝶・蛾」の意味を合わせ持つ。肉体の桎梏から解放された魂たちはこのような大小の蛾の姿で飛び交うのだろう。
石原史彬「先住民族の伝統的文化・思想と人権概念との齟齬」から,孫引き。
あるシャーマンはこのように語った。
地上の死は死ではない。私たちも死ねば精霊となり、天で生きる。
だが精霊にも寿命がある。
男は最後に蟻や蝿となって地上に戻る。
女は最後にノミやダニとなり地上に戻る。
地上で生き、天で精霊として生き、最後に虫となって消える。
それが、定めなのだ。そこに蛾が入ってきてもわたしはかまわない。
これも大きな蛾。
ヨツメエダシャク。29mm。多産するとは思わないが,毎年確実に現れる蛾。
右上にミクロが写り込んだ。
ギンボシアカガネキバガ。5mm。
これはオテアゲ。アオシャクの絵合わせは難しい。
翅形と内・外横線だけでは同定不能と判断。アオシャクの類。13mm。
(ヒメアオシャクあたりが怪しいとにらんでいるのだが)
一目初見のヨトウガ。
図鑑回し。クシロモクメヨトウ。15mm。
ネットに情報がほとんどないので,珍客の部類なのだろう。こういう手合いは文字通りの一期一会だと思った方がいい。
ここら辺でフタスジカスミカメいっておこう。
上が♂,下が♀。♂が二回りほど小さい。この夜,非常に多い。
小型のカメムシ(他にはチャイロナガカメムシ,イネホソカスミカメ,ハネナガマキバサシガメなど)は時たま,灯火に大量に飛来することがある。しかも次の日には1頭もいなかったりする。夏の雨っぽい夜のことが多い。
完全変態の昆虫なら何らかの気象条件で一斉に羽化したのだろうと推測できるが,連中は不完全変態である。
成虫ばかりなので,ある要因によって性的なスイッチが入って灯火に誘引されるのかもしれない。とはいえ,単に幼虫は飛来したくても飛べないというだけの可能性もあるから思いつきとしては弱い。
わざと向こう側の翅にピンを持ってきたが,発想が無理だったようだ。一般的になされないことは,それ相応の理由があるのである。
シタクモエダシャク。測定漏れ。
思ったよりも語られていない蛾だね。
さて,これも難しい。ライトの色がかぶっているから尚更。何シャクかから迷い始める。
おそらくウスフタスジシロエダシャク。13mm。
ついでだから,そのままカメラを引いて集合写真。
ウスフタスジシロエダシャク,ミスジツマキリエダシャク,セダカマルカスミカメの類,フタホシシロエダシャク。
ライトの下。無理な補正はせず。
サラサエダシャク。測定漏れ。100%翅を立ててとまる蛾。
種小名の“arenosa”(あれーのーさ)は「砂地の」の意。「荒野枝尺」とでも勝手に覚えておけばよいと思う。
最後は大きめのカメムシ。
セアカツノカメムシ。13mm。
学名の“Acanthosoma denticauda”の属名は「ツノのある体」,種小名「歯の尾をした」。これだけ理に落ちるとかえってつまらない。
・ツマキシロナミシャク(18mm),他沢山。今年は非常に目立つ。
・ゴマケンモン(18mm)。これは割愛。
・シロモンコヤガ(11mm)。
・アカハラゴマダラヒトリ(×),そろそろオフなので記録として。
ツトガやハマキはスルー。
駐車場探索もパス。