yyzz2の夏研修日記篇(前半。7/29〜8/3)。

 というわけで,今年の夏季休業はひどかった。教員免許更新の講習と試験のためである。 文科省のHPはこうノタマッている。

目的
 教員免許更新制は、その時々で求められる教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に最新の知識技能を身に付けることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指すものです。
※ 不適格教員の排除を目的としたものではありません。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/koushin/

 たいていの教員は放っておいても,仕事で必要なことは長期休業中に勝手に勉強しているのだけれどね。妙な縛りを掛けられると,進学講習・補習ができなくなるし,わたしのような郡部の人間は移動や宿泊が時間も費用も厳しい。教員も舐められたものだという印象。
 それに「最新の知識技能」なら10年ごとではダメでしょう。もっと小まめに研修の機会を(自腹ではなしに)保障すべきに決まっている。
 というわけで愚痴半分,制度の紹介が半分。所詮は呑気な地方公務員なので,エリートの競争社会と比べるとぬるま湯なのだが,競争原理や経営管理の手法(偉い人たちは取り入れたがっているが)が上手く適合する業界ではそもそもないのである。
 

7月29日(金)。遠軽→北見→札幌。移動日。

 高校倫理の進学講習は前日にずらした。今夜の北見発の夜行バスで札幌へ行く予定。妻に北見まで送ってもらったのだが,明るいうちに帰したいので昼から出発。北見峠はフロントガラスにモンシロチョウが次々当たってくる。
 北見駅の待合で自販機のココアを買うが,手を滑らしてすべて下にこぼしてしまう。その場に居づらくなったので移動。18時頃から24時までバスの方の待合で茫然と据え付けのTVを見て過ごす。そこで見たTVドラマはすでにマンガの持つ表現力に遙かに引き離されている。ニュース番組もあきれるほど劣化している。定年まで生きられれば,蛾の文献のことだけ考えて過ごすことに当に決めている。世の中のことはどうでもいい。
 夜行バスは2台編成。利用者が多い時はそうなる。愚劣な番組に倦み疲れたわたしはすぐに寝てしまった。
 

7月30日(土)。札幌。更新講習1日目(8:50〜16:45)。

 朝6時に札幌。7:40に麻布からバスに乗る。土日なので余裕を持って間に合うバスはこれしかない。
 帰遠後に出した「研修報告書」から。心のこもらない文章でしかない。

 内容:午前は学校臨床心理の立場から「子ども」と「教育」のとらえ直しについて,午後は「児童生徒の心理と発達」として,内省機能をいかに高めるかについての講習を受けた。
 反映:生徒の心を支援していく教育の方策について,また内省機能と自己感覚の発達が日本の教育においてより一層うながされるにはどのようにすればよいか考察を行った。

 大講堂。冷房は数カ所に設置された扇風機である。講義の最後にテストがある。好き勝手なことを書いてはいけないのだろうが,日頃からこんな文章ばかりなのでTPOに合わせたものなどとても書けない。答案は書いたけれども後は知らない。
 終了後,「みよしの」(参照:みよしのさっぽろ - Wikipedia)のカレーを食べて老母の家へ。黒猫と斑の猫がいる。ほとんど会話もなくわたしは寝てしまう。
 

7月31日(日)。札幌。更新講習2日目(同上)。

 日曜なのでバスがない。6時過ぎから歩き出して30分ほどで地下鉄駅へ。老いぼれたわたしの脚はアップダウンの激しい道のりに痛みを覚えている。地下鉄とバスを乗り継いでともかくも会場の教育大に着き,昨日よりも小さい教室。でも扇風機。すでに体が疲れている。

内容:PISA・TIMSS・PIAACなどの国際的学力評価の結果比較および他国の教育の動向について学び,日本における理想の教育・学校について考察を行った。
反映:日本の教育が必ずしも不良な状態でないことを踏まえ,これからの日本の教育のあり方についての考察を行った。

 PISAとかの解説。対策を立てると結果は割とすぐに出るものらしい。日本はもうここら辺の国際学力調査から抜けるつもりかもしれないという話。それから,デンマークやオランダやドイツや中国の初等教育に関するNHKのドキュメンタリーを見る。どこにあっても教育と子供は社会の鏡であるようだ。日本の教育で最大の課題は貧困の問題だと思っているのだが,じゃあ外国ではどうかと言う話は出てこなかったし,わたしはそういう課題意識を答案に反映させる気もなかった。
 これで更新講習の「必修」部分が,合格していればのことだが,終わった。あと3つ。
 松屋で牛丼。母の家へ。すぐに寝る。
 

8月1日(月)。札幌。この日は家から出ず。

 脚が筋肉痛。足を引きずらないと歩けない。母は「句会」だそうで朝からどこかに行ってしまった。TVは何だか大画面でケーブルテレビの契約がなされていて,わたしには操作が分からない。室内はクーラーで快適である。70才近い老母は年金と貯金によってわたしよりも遙かに高い生活水準を保っている。わたしがずるずると生き延びてこの程度の生活ができるかというと,どう計算しいても「絶対」無理である。
 ほぼ寝て過ごす。いくらでも眠られる。
 

8月2日(火)。札幌。北海道高等学校「倫理」「現代社会」研究会。

 札幌資料館は,ここも冷房設備がない。窓を開けて,扇風機が4つ。
 5年ごとにやっている「高校生の意識調査」の分析報告。TIMSSでも現れていたように,北海道の高校生たちも現在の学校生活についての「満足度」が異常に高い。ソクラテスは不満足なのだから,連中はすべて愚者である。彼らの自我は「だてマスク」と「スマホ」によってタコツボ的に形成されているらしい。第二反抗期も当たり前のようになくなってきていて,従来の発達心理学のパターンも見直さねばならないだろう。
 彼らがこれからの世の中の変動にどう適応できるかはよく分からない。ビジネス雑誌のサイトと見ると,「若い社員をどう扱うか」の記事にあふれているが,いつだって悪いのは親やそれ以上の世代に決まっている。上の世代が彼らを滅茶滅茶にしそうで嫌で仕方ない。
 「みよしの」でカレー。すぐに寝る。

8月3日(水)。移動日。札幌→遠軽

 都市間バスで帰遠。バス乗り場がどこだか分からなくなり,簡単にパニック状態になる。判断力が壊れて,手が震え始める。札幌駅からターミナルへと必死に歩いて(実際は駅前から乗車できた),なんとかバスに間に合う。
 道東に入ると植生が変わって,風景が何となく違ってくる。疲れていて何も考えられない。
 終点には妻が迎えに来ていた。切り詰めた生活を送っていたことを訴える。明日は出勤して進学講習。
 
 (クズ記事だけど終わらなかったので続く)。