セッケイカワゲラよもやま.【写真日記虫】
「やっぱり猫が好き」という諺があるが,わたしは猫は嫌い.でも,やっぱり虫が好き.
昨日のユスリカが虫@ふたばの尊敬するコテの方々(yyzz2みたいな万年駆け出しとは格が違う)にまずまずの評判.気をよくして今日も出撃決定.天気も上々.
ターゲットはずばり「クロカワゲラ」だ.昨年の3月5日に短翅型と長翅型の両方を確認している.1か月早いが,昨年に見落としているだけの可能性が高い.
11時過ぎに錦大沼公園に.(気温は測候所では−1℃だったが,もっと暖かい印象)
いつもの小川っ縁の雪面はなんだか閑散としている.よく眼を凝らしてはじめて,小さいユスリカがちらほらしているのが見えてくる.あまり多くはない.
と,黒い動くものが.しめた! はたしてカワゲラ.1cm弱.
しかも無翅である.ヽ(´ー`)ノ.例の有名な,いわゆる「セッケイカワゲラ」だ.
動きは速い.何枚も撮らないうちに雪に空いた穴に逃げ込んでしまった.
先に「いわゆる」をつけたのは名称が少しやっかいだから.
「富山県博物館協会HP」の記事から引用.
和名については、セッケイカワゲラが低山にも普通であることからユキクロカワゲラにし、高山帯にも見られるセッケイカワゲラモドキをヤマクロカワゲラもしくはApteroperla属の原和名からヤマハダカカワゲラに変更しようという意見がある。
(富山県のセッケイカワゲラ類,根来尚)
なるほど「雪渓」というのは「年中雪が残っている谷間」だから,こんな錦大沼にもいるのを「セッケイ」では看板に偽りありということか.それはそうなんだけど.
でも「セッケイカワゲラ」というのは,印象的な良い感じのネーミングだと思うんだが.もったいない.そうでなくても,カワゲラなんて釣り人以外には知名度の低い地味な虫だ.「ユキクロカワゲラ」(確かに真っ黒なのだが)ではイメージダウンだろう.改称は業界の損失につながるに違いない.(やがては環境保護意識の低下にも… とまでは今は言わない).
もう少し勉強.
「セッケイカワゲラ」という場合,種としての「セッケイカワゲラ」を指す場合と,「セッケイカワゲラ属」を指す場合とがあるという(「Wikipedia」,セッケイカワゲラの項).(Allocapniella属も含むらしい).どっちみち,これらの属は同定が困難で,研究者もいないらしい.どれもこれもトウシロウレベルでは「セッケイカワゲラ」やむなし.
とはいえ,専門家にとっては違うのであって,苫小牧のサイト「ふるさとネイチャーらんど〜勇払原野の自然〜」では「エゾクロカワゲラ」が紹介されている.わたしの撮ったものが「エゾ」なのかはよく分からない.
※コメントで専門家のkawageraさんから,「北海道にnivalisはいない」とのご教示.どうもありがとうございました.ぜひともコメント欄を参照のこと.
さて,困ったとき(暇なとき)の学名だのみ.(ここら辺が文系出身).
種としてのセッケイカワゲラは"Eocapnia nivalis".
小種名の「nivalis」は「雪の」.
「Eocapnia」はセッケイカワゲラ属を示し,「eo」が「古い,始めの」,「capnia」がクロカワゲラの科名である(「苔」と関係ある語らしいが調べきれず).
ということは「ユキクロカワゲラ」では「eo」が抜けている.なんとかもっと色気のあるネーミングにしたいわたしとしては,「ユキムカシカワゲラ」にして欲しいものではあった.「クロ」にはこだわらなくてもいいや.
勉強おわり.
1頭しか見つからないので移動することに.アルテンの川まで足を伸ばそう.
両岸がガードされて切り立っているところは探すのが面倒そう.なだらかな砂洲状になっているところを捜索.ユスリカ点在.ここのも小さめ.
長翅型(・∀・)イタイタ.セッケイよりも大きい.1cm超.
クロカワゲラsp.ということで.
雪の上に座り込んで,頑張って近づいたがブレブレ.ズボンがどんどん濡れていく.とっくの昔に靴と靴下はいけない状態になっている.
もう1頭.こちらはセッケイカワゲラ.
腹が少し大きいので♀かも.
探せばいるんだなあ.雪の上をこんな虫が歩いているとは,知らない人には驚きに違いない.もっと知って欲しいのだが,でもやっぱり真っ黒な地味地味な虫だし.
今年は,トビケラ・カワゲラ・カゲロウなどの「川虫」にも挑戦する予定.カテゴリーも立てました.図鑑は集め中.
それにしても地味だー.