ウスベニスジナミシャク.ネグロケンモン.Acleris属のハマキガ.アトジロエダシャク.カバキリガ.

yyzz22009-05-01

 20時まで待って出撃.気温10℃.晴れ.6日の月が空に明るい.
 連休期間(サービス出勤)は好天が続くらしい.ということは夜毎の月明かり.月のない暗い夜の方が蛾は灯火に集まるから,こちらの都合だけを考えれば曇天がいい.逆に,蛾にとってみれば,明るい月夜の方が無駄に誘引されて命を落とさずにすむ計算になる.
 今夜は明るい.

大沼公園駐車場

 昨日からスペースに樽状のプランターが置かれている.パンジーが植え込まれている.昨年はパンジーマリーゴールドペチュニアだったから,今年もそうなるのだろう.
 個人的にはニンジンやパセリを植えてぼうぼうにした方が,キアゲハやカメムシが集まって面白いのにと思う.
 虫は収穫なし.

アルテン温泉看板

 蛾反応あり.

 昨夜のようにシタコバネが3頭も集まったのは珍しいのであって,この時期の小さな△の7割はこの蛾.
ウスベニスジナミシャク Esakiopteryx volitans
 ウスベニスジナミシャク.前翅長15mm.

 頭を隠しているが,ネグロケンモン
ネグロケンモン Colocasia jezoensis
 この蛾は8月にも現れる.今のところ「ヤガ科のケンモンヤガ亜科」ではなく「ケンモンガ科」に分類されている.将来は分からない.
 ネグロケンモンの学名は Colocasia jezoensis .「コロカシア」はサトイモの属名でもある.レキシコンでは「エジプト豆の根」を指すギリシア語とされ,平嶋『生物学名命名法辞典』ではその解釈が採用されている.一方,古川『ギリシャ語辞典』では「レンコン」とされている.語の意味に変遷があるのだろう.豆の根にせよレンコンにせよ,蛾の本体とは無関係に命名されたものらしい.
 種小名は「蝦夷地の」.九大の「日本産昆虫目録データベース MOKUROKU」で検索すると「jezoensis」は61件ヒットする.よくある名前なのである.

 ●プライヤハマキのような蛾(8).

 黒っぽいハマキガ.Acleris属だと思う.
アクレリスの類 Acleris sp.
 前翅長10mm.「みんな蛾」の「未同定 Acleris sp.」の1枚目の画像に似ている.

 頭を隠しているが,アトジロエダシャク
アトジロエダシャク Pachyligia dolosa
 アトジロエダシャクの学名は Pachyligia dolosa .
 属名は「pachys 厚みのある,(体が)がっしりした」+「ligia」だが,後節はおそらく,ギリシア神話に出てくるセイレーンの一人の名前「Ligeia」からだと思われる*1
 種小名は「狡猾な,詐欺の」.あまり良い名前ではない.

アルテン馬場駐車場

 ここでもウスベニスジナミシャク
ウスベニスジナミシャク Esakiopteryx volitans
 前翅長16mm.

 車道に落ち蛾.
カバキリガ Orthosia evanida
 これはやや褪せ気味だがなかなかのカバキリガ.21mm.今年はカバキリの出がよくない.
 カバキリガの学名は Orthosia evanida .
 属名のオルトシアは「繁栄の女神」.種小名は「消失した,気が抜けた」.どうしてこんな不景気な命名ばかりなのだろう.

覚生川通り

 高所.
シタコバネナミシャクとヒラタマルハキバガの類
 シタコバネナミシャク.その上にヒラタマルハキバガ類が写り込んでいる.

 ●カギモンヤガ*2(高所・19mm).
 ●この夜3頭目ウスベニスジナミシャク(16),緑個体.

 ウスバキエダシャク.測定せず.
ウスバキエダシャク Pseuderannis lomozemia
 この蛾の美しさ,かわいらしさは蝶に負けないと思うのだが,やっぱり地味なのだろう.

 色合いが違うのでずいぶん悩んだが,やっぱりカバキリガであるようだ.
カバキリガ Orthosia evanida
 前翅長22mm.少し大きい.ぁゃιぃ.でもカバキリだと思う.

 ●この夜3頭目カバキリガ(高所).

 オオハエトリ
オオハエトリ Marpissa milleri
 見つけた時は何か(ユスリカ?)の食べ殻を脚に引っかけていたが,撮影に驚いて落としてしまった.もう食べるところは残っていなかったと思う.


 そういえば,先月はアクセス数が4月としてはやや多めだった.でもほとんどが「マイマイガ」「駆除」だった.

*1:ちなみにフナムシの属名が Ligia である.われわれは海辺でフナムシを見つけたときはすべからく恐るべき水の精を思い浮かべて戦慄しなければならない.その方が人生は面白いからである.