ミヤマミダレモンハマキ.Acleris属のハマキガ.カギモンヤガ.ハイイロコバネナミシャク.アトジロエダシャク.クモの類.双翅の類.オニグモ.オオバコヤガ.フトフタオビエダシャク.

 昨日の記事で「曇天がいい」と書いたら,今夜の空はてき面に薄い雲に覆われた.おぼろ月夜の上弦の月である.星は全く見えない.光りながら動いていくのは飛行機.隣町には飛行場がある.
 つくづく思うが,本当にわたしは仕事以外なら幸運な人間である.どうでもいいことなら大抵思い通りになる.わたしがちょっと本気になればたちまち内閣が瓦解したり,北の国の核実験が大失敗して死の灰ジェット気流に乗って降りそそぐに違いないが,今のところそちら方面には関心が乏しいし,どうでもいいことではないかもしれないので大丈夫である.


 おぼろ上弦の気温8℃.20時出撃.

大沼公園駐車場

 収穫なし.そもそも蛾が飛んでいない.

アルテン温泉看板(1)

 遠目では例のヒラタマルハキバガかと思ったが,近寄るとハマキ.
ミヤマミダレモンハマキ Acleris submaccana
 前翅長11mm.見事に肩口が黒い.時々こんな具合に肩に服を引っかけて歩いている人を見かけるが,蛾とは無関係である.
 『大図鑑』で確認.やっぱりミヤマミダレモンハマキだった.「みんな蛾」には画像が3枚しかないが,この蛾はその他にも数パターンの引き出しを持っている.

 看板の裏にもハマキ.おそらくAcleris属のもの
Acleris sp.
 10mm.鱗片のささくれは不明瞭.「ウスアオ系」(オオ・コ・純正の3種)のどれかだと思われる.

アルテン馬場駐車場

 巡回中の夜警さんに会釈.
 何か小さい羽虫が数頭飛んでいたが,鱗翅か双翅か分からず.

 動き回る落ち蛾.逃げる逃げる*1
カギモンヤガ Cerastis pallescens
 カギモンヤガ.測定できる状況ではなかった.

 ●エゾミツボシキリガ(21)も落ち.痛んでいる.

アルテン温泉看板(2)

 一回り小さい.ウスベニスジナミとは違っていそうだ.
ハイイロコバネナミシャク Trichopteryx ignorata
 どうやらハイイロコバネナミシャク.前翅長13mm.
 ハイイロコバネナミシャクの学名は Trichopteryx ignorata .属名は「毛深い翅」.種小名は「未知の」.こういう命名は,同属の他種の蛾に比べて発見や分類が遅れたものが対象となるようだ.

 看板の裏をまた |д゚)カンサツ.翅を立てた大物がいる.チョウではなさそう.
アトジロエダシャク Pachyligia dolosa
 これはアトジロエダシャクだ.こういう体勢はもう見ることができないだろうと思い,いつもより余分にシャッターを切る*2
アトジロエダシャク Pachyligia dolosa
 前翅長は19mm.何だろう.羽化したばかりで翅を伸ばしている最中だったのか.

覚生川通り

 恒例の電柱高所もの.
スギタニキリガ Perigrapha hoenei
 スギタニキリガ.鶏冠が顕著.その上の方にウスバキエダシャク
カバキリガ Orthosia evanida
 カバキリガ

 ●その他,擦れて分からないキリガ(高所)*1.ウスバキエダシャク(逃走).
 ●落ち蛾として,ウスベニスジナミシャク(14),褪せかけ.

アルテン温泉駐車場トイレ

 クモたちが一回り大きくなってきている.個体数が減っているのは,越冬場所からの分散が進んでいるということだろう.
クモの類
オニグモの類

 小さな双翅を撮ってみる.後ろがボケる写真を撮る機会はほとんどないので面白い.
双翅の類
 触角がずいぶん長い.これは蚊のマイナーな奴だな.

 ハエはいなかった.

温泉駐車場

 キリガっぽいのが4頭落ちている.
 ●エゾミツボシキリガ(21).この夜2頭目.擦れて分からないキリガ(19).

 カシワキリガ.今年は目立つ.
カシワキリガ Orthosia gothica
 前翅長18mm.

 うーん.これはキリガじゃなくてモンヤガだ.昨年も何回も見ている.何だったっけ.1年たつとほとんど忘れてしまう.
オオバコヤガ Diarsia canescens
 オオバコヤガ.21mm.壊れていく春キリガ先発隊たちに比べて,後発部隊のモンヤガたちはいかにもピカピカと新鮮である.

アルテン温泉看板(3)

 来た来た難解エダシャク.しかも,なかなかきれいに撮れない.
フトフタオビエダシャク Ectropis crepuscularia
 前翅長21mm.翅をまっすぐに広げているので,必要以上に大きく見える.
 おそらくフトフタオビエダシャク.この種はもともと,食性の違う2グループが認められていたのだが,このたびDNA解析での系統の相違から正式に2種に分けられる見込みとのこと.外見では区別できないだろうから,わたしのような撮り専にとって,同定できない薄気味悪い蛾がまた増えるわけである.
フトフタオビエダシャク Ectropis crepuscularia
 こんなアングルはなおさら同定に使えない.

 さっきのアトジロエダはいなくなっていた.


 帰宅は21時少し過ぎ.1時間ほどの行程である.体力的にはかなり楽.楽でなければ毎晩の夜回りはとてもできない.
 

*1:「にげる」で変換をかけると「●_(゚∀゚ )≡ モヒョヒョヒョヒョ ヽ(A`)ノ≡ コラァァァ!! ウンコカエセヨー!!」が第一候補に出てくる.嫌なワープロ辞書である.

*2:都合6枚.わたしは1被写体について2〜3枚しか撮らないことが多い.体力と時間の温存.だから腕が上がらないのだろうけど.