ヒラタマルハキバガの類.マルバネトビケラ.ヒゲナガカワトビケラ.シロテンエダシャク.アカハラゴマダラヒトリ.コバネナミシャクの類.マダラカミキリモドキ.キホソスジナミシャク.ヒメカレハ.

 今日は正規の勤務日.月曜日と入れ替えである.仕事は何とか消化できたが,夕方近くにはほぼまいっていた.夜のお座敷はパス.キャンセル.


 少しだけでも,虫撮りに行こう.北海道は春が短い.もたもたしていると,すぐに初夏の虫に切り替わってしまう.今,記録に穴を空けると後からきっと後悔する.


 ああ,ノギスを忘れている.どう転んでも後悔する仕組みらしい.

大沼公園駐車場

 背景がヘンテコだが,女性トイレのドアの磨り硝子.
ヒラタマルハキバガの類
 キバが見える.これでハマキガが除外される.ヒラタマルハキバガの類だろう.

 翅に模様のあるトビケラは,わたしには珍しい.
マルバネトビケラ
 おそらくマルバネトビケラトビケラ(毛翅目)は鱗翅目と最も近縁のグループだという.なるほど,ミクロ蛾と地続きだと思えばその地味さ,同定困難さが納得できる.

 路頭の回りを飛んでいる連中が降りてくるのを少し待つ.
 ●シタコバネナミシャクウスベニスジナミシャクハイイロコバネナミシャク.各1.

スギタニキリガ Perigrapha hoenei
 スギタニキリガ.いよいよ撮り納め.今シーズンは出てきてももう貼らないからね.

アルテン馬場駐車場

 これも同定できる数少ないトビケラ
ヒゲナガカワトビケラ Stenopsyche marmorata
 ヒゲナガカワトビケラ.体長は一目20mm強.年に何回かピークがあって,結局1年中見かけることになる.
 学名は Stenopsyche marmorata .
 属名は“stenōs”+“psychē”.単語は簡単だが,解釈は厄介である.後節の「プシケー」は「魂,蝶,プシケー(ギリシア神話に出てくる美女の名前)」と多義的である(Wikiプシューケー」参照).前節は「(幅が)狭い」.魂が狭いというのはよく分からない.辞典を調べても,ステノースは「やせた,ほっそりした」ではなく,「卑小な,貧しい,(音が)聞き取りにくい」というネガティブな方向に連想が進んでいくようである.そういう感じの属名らしい.
 ※ここでのプシューケーはおそらく「チョウ,蛾」の意味。
 種小名は「大理石(白い玉石)を敷き詰めた」.翅の模様からだろうと思う.

 そろそろ出てくるはずだと思っていた蛾.
シロテンエダシャク Cleora leucophaea
 シロテンエダシャク.翅頂手前に白い部分があることから.「点」というほどのものではない.くたびれた個体だと「擦れ」と区別が付かなかったりする.

 ●ウスベニスジナミシャク.そろそろ擦れ個体が多くなってきた.

アルテン温泉看板

 ●オオハエトリ.♂.

 シーズン初物のアカハラゴマダラヒトリ(翅をめくって確認済み).
アカハラゴマダラヒトリ Spilosoma punctarium
 アカハラとキハラでは,前者の方が翅の白味が強いというが,とりわけ5月のまだ新鮮なアカハラゴマダラヒトリはおろし立ての純白の翅.

 ハイイロコバネナミシャクのように思うが,断定できない.
コバネナミシャクの類 Trichopteryx sp

 横の電柱に久しぶりの甲虫.
マダラカミキリモドキ Oncomerella venosa
 マダラカミキリモドキだ.こういう具合に後脚の腿が太いのは♂.07年5月21日の個体は♀だろう.
 学名は Oncomerella venosa .属名は「ふくらんでいる小さな腿」.ogkosには2つの意味があって,平嶋『生物学名辞典』では「やじり,鉤」を選んでいる(p.666)が,「嵩(かさ),塊」の方が適切だろうと思う.種小名は「脈の多い」.
 虫の図鑑を調べるのと同じくらい,辞典を調べるのは楽しい.

 カミキリモドキに逃げ切られてまた看板に戻ると,美麗種が飛来していた.暖かい時期,看板の虫状況は刻々と変化する.
キホソスジナミシャク Lobogonodes erectaria
 キホソスジナミシャク
 珍しいわけではないが,年に何回も何回も出会えるということでもない.ブログを検索してみると9月にも撮っているから2化の蛾なのだろう.

温泉駐車場

 ヒメカレハ
ヒメカレハ Phyllodesma japonicus
 大きめの個体だと思う.♀ではないだろうか.ノギスを忘れたことが悔やまれる.

 ●ずいぶん悩んで,やっぱり擦れたウスベニスジナミシャク


 「ジュジュジュ,チューウ,チューウ,ガガガガガ」と鳥が鳴く.どうやらオオジシギらしい.
 覚生川通りを廻るエネルギーは残っていなかった.