Cocytia・・・。(4)

 今日もコーキューティアです。こんな調子だと「北海道で最も Cocytia に詳しい男」になってしまうような気がして,あまり嬉しくありません。
 というわけで,真打ち登場。イギリスの大御所のバトラー先生の1884年です。


 ◎ Arthur G.Butler,The lepidopterous genus Cocytia,The Transactions of the Entomological Society of London,1884,pp.351-353
 記されている著者の肩書きは「リンネ学会会員,動物学会会員,etc.」。

 コーキューティア属は,1829年にボワデュヴァル博士によって立てられたものである。その属について彼は(『Mon.Zyg.(マダラガ科のモノグラフ)』,p.4)「デュルヴィル船長によってニューギニアから報告された極めて美しい昆虫」と述べ,マダラガ科に結びつけている。
 〔P〕
 1874年,ボワデュヴァル博士は「Monographie des Agaristiidées(アガリスタ属のモノグラフ)」を『Revue et Magasin de Zoologie(動物学評論雑誌)』26〜110ページに発表し,そこにおいて,Cocytia durvillei〔こーきゅーてぃあ でゅるう゛ぇるいー。原文ママ,durvillii が正しいようだ〕。1種の受け皿として Cocytides族を立てた。

 この時代はまだ接尾辞が統一されていないようだ。

 1875年2月,私は「Notes on certain genera Agaristidae,with descriptions of new species(アガリスタ科のいくつかの属に関するメモ,並びに新種の記述)」を『The annals and magazine of natural history(自然誌年会誌)』135-144ページに発表した。そのペーパーで私は,この種のランクを引き上げてコーキュティア科〔Cocytiidae〕とし,アガリスタ科とマダラガ科の間に位置づけた。また同時に,2種目となるアルー諸島〔参照:Wikipedia〕産の C.chlorosoma〔けー くろーろそーま〕の記載を行った。
 〔P〕
 コーキューティア科はその長く上向した唇鬚に特徴がある。,雌においては並はずれて発達し,ヤガ科の Ophideres属〔現,Eudocima。アケビコノハなど〕の数種に見られるような唇鬚に類似する。
 触角は,アガリスタ科やマダラガ科よりもカストニア科〔参照画像:Castniidae〕のそれによく似ているが,より以上にセセリチョウ科のいくつかの種に類似しており,長く真っ直ぐで,先に向かって徐々に棍棒状に膨らんでいる。先端部では細くなって湾曲する。
 体は強力なヤママユガと同程度に強固である。
 翅の形,透かし模様,色彩はスズメガのヘマリス属〔Hemaris。タイプはクロスキバホウジャク〕を見る人に鮮やかに思い起こさせる。
 翅脈はヘマリス属にいくつかの点で似てはいるが,透かしのある翅を持つマダラガ科の特徴を有している。


 まだ続くのだが,疲れたし,仕事が残っているし,一旦中止。