Cocytia・・・。(18)

 昨日はサービス出勤予定をばっくれて,昼まで布団。起き出してクスリを飲んで,注射をして,パソに向かって,ヘッドフォンで初音ミクをかけながら,1日の残り,机の廻りを本だらけにして外国文献読みとブログ書き。こういう作業をやらせれば集中力は半端な学生なんぞにはまだ負けない。簡単に日付が変わる。職場に残した仕事を思うと朝が怖い。


 Boisduval,「Essai sur une monographie des zygénides」,1829,「Gallica」から。
 『モノグラフ』本文におけるコーキューティアについて。
 ラテン語部分はイタリックで。

〔p.22〕
コーキューティア属.Mihi 〔自分による命名,の意〕

触角は紡錘状,先で鉤型。唇鬚は大きく,3節。第1節はより短く,第2節はいくらか長い。両者は鱗片に覆われる。第3節は長く,裸で,細く,円筒状,顔を越えて突き出す。口吻は長く,角質。翅は水平,透かし。

 とにかくラテン語の記載文は,奪格の名詞と形容詞が羅列されているだけであって,古典語の勉強には全く役立たない代物である。
 次はフランス語。同じような,微妙に違っているような。

触角は長く,紡錘状,先端では鉤型になる。唇鬚は突出し,3つの節は極めて顕著。第1節は他の2節よりもわずかに短い。第2節は最も長く,第1節同様に,鱗毛を備える。第3節は長く,裸で,細く,顔面を過ぎ越す。口吻は長く,角質。翅は水平,透かし。

 訳してしまうと見えない。やっぱり母語の方がわずかだが表現に血が通っている印象を受ける。


 次は種の記載。

COCYTIA DURVILLII 〔コーキューティア・デュルウィルリイー*1。Mihi(原註1)。図版1,図1*2
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 (1) d'Urville 氏から献じられたもの。彼は精力的な学者であり,現在,2回目の世界周航中である。

 この連載に既出だが,Butler 先生は“Cocytia durvillei”と書くのが常である。単なる間違いなのか,命名上のポリシーなのかは分からない。いずれにせよ,こちらの綴りは現在用いられていない。

C.〔学名を略したもの〕 すべての翅で両側に最も濃い黒色。翅脈は黒く,翅表の中央部は透かし。基部に黄色紋。触角は長く,紡錘状,黒色。頭,肩,唇鬚,胸部,腿,腹部は,光沢のある青銅色。

 フランス語記載は次回。
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*1:種小名の durvillii は,採集者である“d'Urville”をラテン語化したおそらく“durvillius”の属格。人名由来の学名は当人の母国の発音に従うのが本来であるが,ここでは命名者の意を汲んでラテン読みとした。

*2:Gallica の図版は黒くつぶれていてお話にならない。