番外編。ルネサンス期における芋虫毛虫の分類について。
頭が全く働かない室温30℃の日が数日続いて,突然今朝は気温が25を割った。でたらめである。冬や春は暖房を目一杯かけても20をそこそこなのだから,この土地の気候は心身に極めて悪い。ここで生まれ育った人間はともかく,よそ者であるわたしにはほぼ無理である。
※17時には17℃まで下がった。
ムーアがらみでどんどん知識がサーフィンしていく。
現在,東インド会社やらインド総督やらの本を読んでいる最中。植民地インドでのイギリス人行政官ポストの訳語には未だ固定したものがないらしい。困ったな。
というわけで,少し脱線。
Mooreの次のネタはおそらく16世紀のMoffettになるのだけども,ルネサンス期の昆虫学はあからさまに過渡期であって実は面白い(最先端でフィールドしている人にはもちろん無関係な世界である)。
きちんとした出典・文献リストは後日にして,今は概要のみ。どうせまたうんうん言いながら調べ直さなければいけなくなる。
- ルネサンス期において,「caterpillar(芋虫・毛虫)」と「チョウ・蛾」とは異なる昆虫として分類されていた。
- 昆虫は生物として不完全であり,腐敗物や異なる生物から生じる(自然発生説)。
- 芋虫が蛹になり,さらにチョウになる現象は当然観察されていたが,それは規則的なものではない。
- 根拠。面白い。
- 飼育下において,多くの芋虫が芋虫のまま死ぬ。(それはそうだろうねえ)
- 1頭の芋虫あるいは蛹から多数の蛆虫が出てくることがある。(寄生性の昆虫についてはまだ知られていない)
- 「芋虫の死」によって「蛹」が発生するが,それは「新しい生物が発生する卵」として位置づけられる。
- 従って,「芋虫」と「チョウ」を別の生物として分類することに矛盾はない。
- チョウの産卵は観察されてはいるが,一般的な事象かどうかはまだ不明である。
- 上記の分類は論理的には「自然発生説」に依拠しており,17世紀は「自然発生の否定」と「変態に関する観察事例の積み重ね」が課題となる。
- Moffettは過渡期。従って著作では芋虫の記述が,「芋虫のみの章」と「芋虫と鱗翅の章」に重複する。
- 分類に関して「共時的なまなざし」から「通時的(歴史的)なまなざし」への変化として捉えられるかも。
明日からまた冷房施設のない場所での仕事が再開する。もちろん土日も出勤である。