手元の資料で調べよう。フレデリック・ムーア。(その13)

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20.J.ショート博士(Dr. J. Shortt)
 →おそらく,『南インドの林業 Forestry in southern India』1884,の編者である John Shortt(1839〜1903)。タイトルページの肩書きは「医学博士,王立内科・外科医師会会員,リンネ協会会員,等。元マドラス軍副軍医長」。

1864,1878年にシェバロイ(Shivaroy,現 Shevary)ヒルズ(タミル地方)から,様々なチョウと蛾。

 
21.H.B.ヘラルド大尉,イギリス砲兵隊(Cap. H. B. Hellard,R.A.)
 →完全に不詳。『インドの鱗翅目』の巻中では「Major(少佐)」で記されているので,序文が書かれた後に昇進したらしい。

カシミールのチョウ。

 Hipparchia cadesia(現 Karanasa cadesia)。ジャノメチョウの仲間。
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http://www.biodiversitylibrary.org/item/90419#page/724/mode/1up
 
22.W.C.ヒューイットソン(William Chapman Hewwitson)
 →1806-1878。「William Chapman Hewitson - Wikipedia」および「ノーサンバーランド,ダラム,ニューカッスル・アポン・タイン博物学学会紀要 Transactions of the Natural History Society of Northumberland, Durham, and Newcastle-upon-Tyne」第7号,1880収蔵の「リンネ協会会員,W.C.ヒューイットソン氏の略伝 Memoir of the Life of Mr. W. C. Hewitson, F.L.S.」p.223,によれば,元測量技師で,遺産相続によって博物学に専念することになった人物。昆虫学学会,動物学学会,リンネ協会会員。始めは鳥の研究で知られたが,後年外国のチョウに関心を持つようになった。著作に「イギリスの卵学 British Oology」,1831。
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http://www.biodiversitylibrary.org/item/103816#page/172/mode/1up
昆虫を扱った著作多数。ここにはムーアとの共著「故M.S.アトキンソン氏のコレクションから新しいインド産鱗翅目昆虫の記述。(第1部)チョウ。 Descriptions of new Indian lepidopterous insects from the collection of the late Mr. W.S. Atkinson. Rhopalocera」,1879から彼自身の手による図版。「アトキンソン氏」については既出
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http://www.biodiversitylibrary.org/item/26805#page/325/mode/1up
死後,彼のコレクションは大英博物館に寄贈された。

様々な時に多くの種。「アトキンソン」コレクションから稀少な標本。

 
23.J.O.ウェストウッド教授(Prof. John Obadiah Westwood)
→1805-1893。昆虫学史では重要人物。John O. Westwood - WikipediaA Victorian Renaissance Man: John Obadiah Westwoodなど参照されたい。オックスフォード大学教授,リンネ協会会員,ロンドン昆虫学会名誉会長。本格的な昆虫分類学は彼に始まる。自然神学の立場に基づき,ダーウィンの進化論を批判したことでも知られる。

1851-2年にサーガル(Saugor,現Sagar)でR.ハンターによって描かれた沢山の幼虫や蛹等の図版の写し。

 ※「ハンター Hunter」は不詳。ウェストウッドの著作は多い。鱗翅関係は割愛。分類を論じた「昆虫の現代的分類序説。様々な科における本質的習性とそれに対応する身体組織に基礎を置く。 An introduction to the modern classification of insects : founded on the natural habits and corresponding organisation of the different families」,1839,の目次くらいは紹介しようかとは一度は思ったが,大変な作業になりそうなので後日機会があれば。その本の最初の図版。ネジレバネがいる! 文字部分がつぶれているが,元画像からそうなのでどうしようもない。
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http://www.biodiversitylibrary.org/item/79432#page/18/mode/1up

  • Order Coleoptera.(鞘翅目)
    • 図1. Cicindela liybrida Linn. (Linn. Cab.)
    • 図2.Anomala Donovani Steph. (Brit. Mus.)
  • Order Neuroptera.(脈翅目)
    • 図3.Boreus hyemalis Latr.
      • ※右2頭目。この虫は現在は長翅(シリアゲムシ)目。
  • Order Hymenoptera.(膜翅目)
    • 図4.Dicladocerus ( W.) Westwoodii Steph.
    • 図5.Platymischus ( W.) dilatatus Steph.
  • Order Strepsiptera.(撚翅(ネジレバネ)目)
    • 図6.Stylops Spencii Pck.
  • Order Hemiptera.(半翅目
    • 図7.Aphelocheirus aestivalis Westw.
  • Order Homoptera.(同翅目)
      • ※現在は同翅(ヨコバイ)亜目として半翅目のサブに置かれる。
    • 図8.Dorthesia characias, ♂, Latr.
  • Order Diptera.(双翅目)
    • 図9.Phthiria fulva, ♀, Latr.

 命名者について。

 略称は動物学ではリンネ以外あまり使わないのだけど,昔だしね。
 
(まだ続く。永遠に終わらないような気がしてきた)