「第36回みちのく会」探訪記(4)。

 (承前)


 【2月27日昼の2】
 ぼちぼちと人が集まってくる。わたしの知っている人はほとんどいない。社交性が乏しいばかりか,人の顔をほとんど記憶できない。後者は母方からの遺伝である。
 人々の主な話題は,今度学研から出版される「標準図鑑」。この場に執筆スタッフが大勢紛れ込んでいるのである。
 新しい図鑑も魅力的だが,わたしはとりあえず保育社「蛾類図鑑」の初版が欲しい。わたしの関心は「新しい正しい知識」からはやっぱり距離がある。「古い間違った知識」が好きだったりする。正しいことを目指したいのなら,わたしは大学のアカデミズムにしがみついていただろう。正しくないことだけ,間違ったことだけを考えたくてわたしは脱落した。


 というわけで,人々の会話になんぞ入っていけないので,カメラを持って再探索。中庭に出てみる。
 この建物は増築することによって形成されていて,無駄に曲がった廊下の暗い角や,ぽっかりと取り残された空間が所々に出現する。
 この中庭もそんな場所の一つ。


 何時のものか分からない。カマキリの卵嚢のように見える。
卵嚢
 ホカイドはゴキブリがロクにいないので有名だが,カマキリもレア。こういう卵嚢すら,わたしにとっては珍しい。


 カメムシの死骸。
カメムシの類
 相変わらず死んだものばかり撮っている。これは,業,だな。


 壁に残る虫起源の痕跡。化石のような風貌。
死骸


 やっと生きた虫。でも濡れて水滴を浮かべている。
カワゲラの類
 カワゲラだと思うのだが。


 ああ疲れた。朝飲んだトランキライザーの効果も切れてきた。「みちのく会」がようやく始まる。


 「一人一話」ネタを今日あげてしまう予定だったのだが,メモを職場に置き忘れてきた。明日まわし。明日はやっとやっとの蛾の話になります。
 (この項続く)