手元の資料で調べよう。フレデリック・ムーア(その2)。

(承前)手元の資料で調べよう。フレデリック・ムーア(その1)。
 
 「その1」をうpした後で,BHL(Biodiversity Heritage Library)のサイトをまた開いて,学会誌へのムーアの報文をぱらぱらと眺め直す。
 毎年毎年,色気のない記載文が続いている。マニアにしてみれば,記載文というのは「天使的な幻想をかき立てる甘美な何か」なのだろうが,あいにくわたしはその域には達していない。達する前にきっと人生の残り時間が切れる。
 
 というわけで,前回の漏れを見つけた。
 ムーアはホースフィールドの下で,1854年に「鳥の目録」,1857年に「鱗翅の目録」を発刊してる。その前後の報文があったので記しておく。
 1855年,ということは『鳥類目録』のすぐ後かほぼ平行して,ムーアは「Annals And Magazine of Natural History博物学年報および雑誌)』(どうしてこういうタイトルになったかは経緯があるらしい)の第2期16号に「鳥の報文」を3本載せている。

  1. Notice of a new Indian Swallow(新しいインドツバメの報告),p.225-226.
  2. Notice of some new species of birds contained in the museum of the Hon. East India Company(東インド会社所蔵の新種の鳥の報告),pp.226-228。
    • 肩書きは同上。
    • ネパール産の鳥5種の記載。
  3. Notice of some imperfectly-known species of birds contained in the museum of the Hon. East India Company(東インド会社収蔵の完全には知られていない鳥の報告),pp.369-371。
    • 肩書きは「Frederic Moore」のみ。
    • ネパール方面やアフガニスタンの鳥4種の記載。

 
 後ろ2本は記載のみ。図版もないので素人にはつまらない。
 ここまでは鳥。
 
 1857年になって,鱗翅の報文が現れる。『鱗翅目録』が同年からだから,ムーアの対象が鱗翅に移行していることが分かる。

  1. DESCRIPTIONS OF SOME NEW SPECIES OF LEPIDOPTEROUS INSECTS FROM NORTHERN INDIA(新種の北インドの鱗翅昆虫の記載),Proceedings of The Zoological Society of London(ロンドン動物学学会紀要),1857,pp.102-104。
    • 肩書きは「東インド会社博物館助手,フレデリック・ムーア」。もちろんまだ助手である。
    • Pieris属5種とPailio属1種の記載。産地はブータンダージリン
    • 図版。Plate XLIV
      • 1.2. Pieris Nama. ♂♀ Moore. [Cepora nadina (Lucas, 1852)]
      • 3. Pieris Seta. Moore. [Prioneris thestylis (Doubleday, 1842)]
      • 4. Pieris Sanaca. Moore. [Delias sanaca (Moore, 1857)]
      • 5. Pieris Indra. Moore. [Appias indra (Moore, 1857)]
      • 6. Pieris Durvasa. ♀ Moore. [Appias lalage durvasa (Moore, [1858])]
    • Plate XLV
      • Papilio Janaka. Moore. [Papilio bootes janaka Moore, 1857]

 
 その次は1858年にタテハチョウなのだけれども,割愛。
 報文を可能な限り紹介するなんてことはエネルギー的に無理だから。
 
 (この項続く)