「第36回みちのく会」探訪記(7)。
(承前)。
さすがに温厚なわたしも記事書きに飽きてきたに一票。
【2月27日夜の2】
正餐会の所定時間終了。移動。幹事室303号である。時間の経過とともに部屋が狭くなっていく仕掛け。
わずか10畳の部屋に,無数の酔っぱらったおっさん達とおびただしい乾燥した蛾の標本と泥沼のように尽きることのないアルコールが蝟集する。
ここは地獄かもしれない。
理性を保っているのはわたしだけだった。クスリが効いていたからである。
持ち寄った標本やら蛾本やら。オークションが始まった。
せり人が思いつきで品物を取り出すものだから,記録者は大変なことに。
現在は採集禁止地域産のギフチョウ*2は600円で落ち。ベニモンカラスシジミ*6が1200円。オオシモフリスズメは100円。
イエスはこう言っている。
5羽の雀が2アサリオンで売られているではないか。だが、その一羽さえ、神がお忘れになるようなことはない。
でもオークションは続く。
箱が100円ショップ製とのこと。周囲の人々の感嘆しきり。カレハガがせり人の目に止まり,急遽出品の次第に。
急遽なので紙皿である。ワタナベカレハ。せり人自らが1000円で。
利益が目的ではなく「標本の交換会」と見なせば,相場とはまったく無関係な価格のメカニズムが理解できる。経済学的には面白いのかもしれないが,彼らは残念ながら「ホモ・サピエンス」でも「ホモ・エコノミクス」でもなく,ただの酔っぱらいに限りなく近似しており,まだ学名が付いていない。
大体1000円ちょい程度で落ちるものが多い。
蛾の入った三角紙50枚ぐらいセットが200円。安いのだがきっと展翅が面倒。ムクゲエダシャクが10円からスタートして1500円に。
これもフィンランド産詰め合わせ。
下の色の濃い奴は,日本に分布していない「カバガ」とのこと。600円落札。
なかなか良いものらしいのだが,こういう渋いのはわたしには難しい。種名も価格もメモから脱落している。
切手やら本とかも出品。コレクターにはたまらないのだろうが…。
幹事が売り上げを計算。
例によって会話についていけないわたしが横からのぞいていると,いつまでもいつまでも入力と計算が終わらない。どこかで関数が狂っているらしかった。
およそ10分後,「あ,見つけた」とつぶやく。お疲れ様でした。幹事は大変である。
その後,人々から採集やら文献整理の苦労やら分布地域の表記の問題やらいろいろと有益なことを教わった……ような記憶があるが,いまこの記事を書いていてあらかた忘れ果ててしまっているのに気づいた。
ごめんなさい。
というわけで,少し早めに抜け出して(それでも11時を回っていた)自室へ。睡眠薬を飲んで就寝。
(この項続く)