手元の資料で調べよう。フレデリック・ムーア(その4)。
(その1)。
(その2)。
(その3)
だらだら続いております。まずは前回までの年譜的おさらい。ブログというのは積み上がっていくスタイルなので続き物には向いていないのである。
- 1848 東インド会社博物館に助手として勤務をはじめる。
- 1854〜 『東インド会社博物館の鳥類目録』をホースフィールドの助手として発刊。
- 主に文献表を担当。
- 1857〜 『東インド会社博物館の鱗翅昆虫目録』を助手として発刊。
- 1879 『第2次ヤルカンド調査の科学的成果 鱗翅目』
- 同年 東インド博物館が大英博物館に吸収合併される。
- ムーアは退職し,以後は在野の鱗翅学者として活動する。
さて,それで。
同じく1879年に『Descriptions of new Indian lepidopterous insects from the collection of the late Mr. W.S. Atkinson.(故 W. S. アトキンソン*1氏のコレクションから,新種のインド鱗翅昆虫の記載)』の「Heterocera(蛾)」の部分を執筆している。発行元は「ベンガルアジア学会」で,1882と1888年に続きが出ている。これは現在,BHLではリンク切れ。citebankとgoogleで不完全な形のものが公開されている。説明に,Journal Article とあるから本にはまとまらなかったのかもしれない。
第1巻(1879)の肩書きはまだ「Assitant Curator」だが,1882・1888のものには「late(元)」がついている。ということは第1巻はまだ退職前の著作かもしれない。
1888年版の図版。PL.VIII。この図版はムーアの息子の F. C. Moore によるもの。
(クリックしてさらに「オリジナルサイズが何とか」してさらに「+」するともっとはっきり見られます)
- Decetia pallida,♂
- (ツバメガ科Auzeinae亜科の蛾,この亜科は主にインドネシアに分布する。pallida種は稀種らしく,画像も説明も見つからない)
- Noreia flava,♀
- (Eilicrinia flava。ミミモンエダシャクと同属)
- Auzea reticulata,♀
- (ツバメガ科Auzeinae亜科の蛾)
- Cimicodes sanguiflua,♀
- (Dissoplaga flava。5と同種。インドに分布するエダシャク亜科の蛾)
- C. flava,♀
- (4と同種)
- Marcala flavifusata,♂
- (Capasa flavifusata。エダシャク亜科の蛾)
- Caustoloma acutipennis
- (Camadena vespertilionis Moore, 1888。マドガ科の蛾)
- Anisodes lunulosa
- (Heterostegania lunulosa。エダシャク亜科の蛾。「Anisodes」はヒメシャク)
- Menophra vialis,♂
- (Alcis vialis。ナカウスエダシャクと同属。「Menophra」はウスクモエダシャク属)
- Remodes lineosa,♂
- (Sauris lineosa。ヒゲブトナミシャクと同属)
- R. abnormis,♂
- (Sauris abnormis。10に同じ)
- Brabira pallida,♂
- (Brabira artemidora pallida。日本のキリバネホソナミシャクは原名亜種)
- Runeca ferrilineata
- (Scopula ferrilineata。ヒメシャク亜科。『標準図鑑I』によればScopula属は日本に48種分布)
- Macaria deletaria,♂
- (Peratostega deletaria。日本のヤマトエダシャクはhypotaenia亜種)
- Agathia divaricata
- (Spilopera divaricata。日本のSpilopera属はツマトビシロエダシャク S. debilis。しかし図版を見ると,Agathia属っぽい。混乱があるのかもしれない。The Global Lepidoptera Names Index参照)
- Alcis vagans
- (Medasina vagans。エダシャク亜科の蛾)
- Trygodes ferrifera,♀
- (Iridoplecta ferrifera。エダシャク亜科の蛾)
- Emodesa sinuosa,♀
- (Zusidava tortricaria Walker,1862。Zusidava属はインドネシア方面に分布するカギバガ)
- Stegania purpurascens
- (Allaxitheca purpurascens。エダシャク亜科の蛾)
- Epione adustata,♂
- (Xenographia adustata。エダシャク亜科の蛾)
- Arasada fasciosa
- (Hyposada fasciosa。ベニコヤガ亜科のマエウストガリコヤガと同属)
- Bardanes plicata,♂
- (Eois plicata。ナミシャク亜科のキベリヒメナミシャクと同属)
- Menophra deficiens,♂
- (Maidana tetragonata (Walker,1862)。エダシャク亜科の蛾。Maidana属はHypomecis属と合併したり分かれたりしているらしい)
- Onychia violacea
- (Anonychia violacea。エダシャク亜科の蛾)
- Collix flavofasciata
- (Horisme flavofasciata。ナミシャク亜科。トガリバナミシャクと同属)
- Carige lunulineata
- (ナミシャク亜科。ホソバトガリナミシャクと同属)
- Menophra torridaria,♂
- Eupithecia griseipennis,♀
- (Physetobasis griseipennis。ハネナガナミシャクと同属)
- Metabraxas falcipennis,♂
- (Ozola falcipennis。ホソシャク亜科。エグリトガリシャクと同属)
- Lobophora sikkima,♂
- (Nothocasis sikkima。ナミシャク亜科)
回を追うごとに非本質的な事項が徐々に詳しくなっていくが,もちろんわたしに極めてありがちなことでしかない。
(この項つづく)
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